文化財の保護、そして活用へ ー大阪府文化財保護課ー
北村 文乃

こんにちは、学生ライターの「あやの」です♪
今回ご紹介させていただくのは、大阪府教育庁の文化財保護課です!

いきなりですがみなさん!大阪府には様々な文化財があること、知っていますか?
有名な大阪城をはじめとする史跡、中之島の中央公会堂などの歴史的建造物。
各地に残るお祭りなどの無形文化財。太陽の塔も実は、国の「登録文化財」なんです。



こちらは、とある「登録文化財」にて行われたイベントの様子♪
大阪府ではこのように文化財を活用したイベントが積極的に主催されています。

実は、このイベント主催など、文化財にまつわる幅広い仕事を担われているのが、大阪府の教育庁文化財保護課様なんです!
今回はそちらの教育庁文化財保護課様に、お話を伺ってきました!


大阪府教育庁文化財保護課について


―まずは、大阪府教育庁文化財保護課についてお教えください。

本課は、文化財の保存と活用に関わる仕事を四つのグループに分かれて行っています。

一つ目は本課の予算管理や総務的な仕事をするグループです。

二つ目は府内全体の文化財の保護に関して、国(文化庁)と調整しながら市町村や文化財の所有者に助言したり、法律や条例に基づいて新たに文化財指定などを行って保護していくグループで私が所属するグループです。保護と聞くと、修理や修繕などを思い浮かべるかもしれませんが、文化財保護法の趣旨では、「保護」とは「保存」と「活用」の両方を含んでいて、その両方によって国民の文化的向上を目指すことを指します。これについてはまた後ほどお話します。またこのグループでは府立博物館等(弥生文化博物館、近つ飛鳥博物館、近つ飛鳥風土記の丘)の管理運営(指定管理者制度)も行っています。

三つ目は、遺跡内で開発工事が行われる場合に、事前に発掘調査を行うグループです。住居跡などの遺構や土器、石器などの遺物について記録(図面、写真など)を取り、保存を図る仕事をしています。

四つ目は、発掘調査後に報告書を作るために出土した遺物の整理や、保管・管理を行ったり、また展示のため他の博物館などに貸し出しを行うグループです。


―大阪府には、どのような文化財がありますか。

有名な大阪城は、櫓や門などの多くの建物は国の重要文化財に指定されていますし、石垣や堀などを含め城の範囲は国の特別史跡に指定されています。
例えば、現在の天守閣は江戸時代ではなく、昭和6年に建てられたものですが、国の登録文化財に登録されています。文化財の種類によって重要文化財、史跡など呼び方が異なりますし、「指定」や「登録」など保護の制度も複数あって複雑ですが、みなさんが訪れる大阪城は、どれも「文化財」となっています。

また、河内長野市の観心寺や金剛寺など地域にある寺社仏閣の建物や仏像なども国や大阪府、市町村により文化財に指定などされています。さらには堺市・羽曳野市・藤井寺市にある百舌鳥・古市古墳群は、世界文化遺産になっているほか、人形浄瑠璃文楽は無形遺産となっています。
地域のお祭りなど身近な伝統行事が文化財になっているケースもありますし、世界的価値をもつ文化財もある、大阪には重層的で多様な価値をもつ文化財があると言えます。

数のうえでも実は、大阪は非常に文化財の多い所なのです。
国の登録文化財の数は、全国1位。重要文化財や史跡などは京都や奈良に近いこともあり全国的にも数が多いですが、それに加えて縄文時代から近現代に至るまで、各時代の文化財が連綿と残されていることも特徴です。大阪は古代から現代にいたるまで、多くの人、モノ、情報が集まる地理的な特徴もあって、各時代において政治、文化、経済などの中心的な地域であったので、多様性に富み、先進的、特徴的な歴史とそれを物語る文化財が多く残されていると思います。


―文化財の保護について、詳しくお教えください。

文化財保護の仕事というのは、非常に幅の広いものです。

大阪府だけで行っているのではなく、国と市町村と協力しながら行っています。
先ほど、保護は「保存」と「活用」からなると言いましたが、貴重な文化財を将来に残していくために、「指定」や「登録」などの法律や条例の制度によって文化財に網をかけ保存を図ること、それから修理や日常の維持管理などは「保存」にあたります。修理や日常管理は文化財の所有者が行うことが基本ですので、行政はその経費を補助したり、進め方について助言を行っています。「保存」を通じて文化財を次世代に確実に継承していくわけです。


―どのようにして、文化財の指定を行うのでしょうか。

まずはその文化財を調査します。
学術的な調査、検討を経て、大学の研究者などの有識者も交えて「これはわが国や各地域にとってどのような価値があるのか」について議論、精査してます。
日本にとって重要な価値をもつものであれば、国の指定、大阪府において重要な価値をもつものであれば、大阪府の指定というように、価値に応じて「指定」や「登録」を行います。


―文化財を指定するにあたって、どのような壁がありますか。

壁というか、個々の案件によって課題は色々ありますが…例えば国の史跡への指定に向けては、地元の市町村が調査や価値付けについて主として取り組みます。実際に指定に向けた手続きの中で、一例をあげれば、所有者の同意を得るのが難しかったものがありました。

どういう価値があるのか、なぜ指定して保存を図る必要があるのか。
土地改変などは規制の対象ともなりますし、なかなか理解を得ることが難しい場合もありました。

また広範囲にわたる指定には、土地所有者も多く時間もかかります。
ものによっては、指定にいたるまで10年以上かかったものもあります。


―文化財の「活用」について教えてください。

「保存」するだけでは文化財を保護する目的は達せられません。多くの方に文化財を知ってもらい、その価値や地域の歴史についての理解を深めていくことも大切です。そのための文化財の「活用」も行っています。

MadeinLocalで取り上げてもらいましたが、本課が昨年12月に行った堺市の重要文化財髙林家住宅での「重文民家 高林家に伝わる 年中行事の食を体験」では、旧家につたわる伝統的な食事を体験するとともに、文化財の価値や歴史を知ってもらう機会としました。
こちらがその様子です。



また各自治体が様々な形態で文化財の「活用」を行っています。博物館での展示会や講演会、パンフレットや解説本の出版、また文化財めぐりなどのまち歩き、普段非公開の文化財の一斉公開など。最近はARやVRを使った活用も行われています。
多くはソフト的なものですが、文化財の種類によっては民間企業などが歴史的建造物をカフェや宿泊施設にリフォームするハード的な活用の例もあります。

文化財にはどんな価値があって、その地域にはどんな歴史があるのか、そういったことを伝えていくことで、文化財のよき理解者を増やしていきたいと考えています。また観光、まちづくりなど様々な面で文化財を活用した取り組みも増えています。単にイベントに利用するだけでなく、文化財の価値を広めることにも着目した取り組みが増えるよう、文化財以外の部署との連携も意識したいと考えています。


―これからについて

これまでの文化財保護の仕事は、主に「保存」に力点をおいて取り組んできたという指摘があります。
しかし、平成31年施行の文化財保護法の改正で、都道府県や市町村が文化財の「保存」と「活用」の方向性や考え方を1つの計画としてまとめることができるようになりました。

地域にどのような文化財があって、それをどのように「保存」しながら「活用」を図り、地域を活性化させていくか、どんなに貴重な文化財があっても、しっかり保存しその価値を知ってもらわなくてはなりませんし、文化財を核とした取組みを計画的に行っていく裏付けを作って進めていく。そのような取組みがこれから増えてくると思います。
大阪府や府内の各地域には、どんな価値をもった遺産があり、どんな歴史があるのか。

それを多くの人に知ってもうらことが、文化財の支えになっていくと思います。


―Made In Localへのメッセージをお願いいたします

御社に伺ったときに社長様はじめ若者主体の非常に元気のある企業だと感じました。Made In Localの理念に共感することも多くありました。地域をいかに元気にするか。文化財の保存と活用の取組みには地域の活性化の視点も欠かせません。文化財の保存と活用を通じて、少しでも地域の元気付けに貢献できればと考えています。

団体名

大阪府教育庁文化財保護課

所在地

咲洲庁舎 〒559-8555大阪市住之江区南港北1-14-16

ホームページ

https://www.pref.osaka.lg.jp/bunkazaihogo/

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