社会課題とビジネスの架け橋から、明るい未来の実現へ EMIELD 株式会社
平河 顕也


(代表取締役 森 優希さん)

EMIELD株式会社を創業するまでの道のり


―――森さんが社会課題に関心を抱いたきっかけを教えて下さい。

森 優希さん(以下:森さん):社会課題に強く関心を抱いたきっかけは、小学校6年生のときに、テレビで見たアフリカの貧困層の子供たちの映像です。私が健康で毎日を過ごし、家族や友達と過ごす当たり前の日常が、当たり前ではなかったことに気づきました。そこで、「誰かの役に立つことに、自分の限られた人生を充てたい」と感じました。同時に、「いつかアフリカに行って、自分の目で現場を見たい」という気持ちが生まれました。


―――実際にどのような行動に移されたのですか。

森さん:私が興味を持つことは、まず現場に足を運ぶようにしています。中学生のときには新潟県中越地震の復興支援プロジェクトに参加し、高校生では、献血推進のボランティアなど様々なボランディア活動に参加しました。大学時代は念願のアフリカのタンザニアへ行きました。そこで、路上で暮らす子供たちが第2の首都だけで5千人以上いることを知りました。生まれた環境の違いによって子供の将来への選択肢が狭まってしまうことを解決したいと考え、タンザニアの路上に住む子供の職業訓練・教育支援団体を立ち上げました。


(アフリカ タンザニアの子供と森さん)


―――なぜ、「SDGs経営のコンサルティング」で社会課題を解決しようと考えたのでしょうか。

森さん:タンザニアでのボランティア活動では、事業ノウハウがないため収益性に課題があり、子供たちを支援できる金額に限度があると痛感していました。そのため、社会的なインパクトを追求することが難しく、持続可能な取り組みではないと感じました。

私は「世の中で解決されていない社会課題を解決することができる、持続可能な体制をつくりたい」という想いが強くなり、事業・組織戦略について学べる経営コンサルティング会社で働き、企業の経営支援に携わることにしました。前職では、多数の企業支援に携わる中で、「企業が社会課題と向き合う仕組みを創れると、社会にとっても企業にとってもサステナビリティ(持続可能性)ではないか」と考え、SDGsビジネスモデルチームを立ち上げました。

その後、企業に対するサポート事業だけでなく、私自身が解決したい課題に対する事業を立ち上げるため、EMIELD株式会社を立ち上げることになります。

これまでの事業内容


―――SDGs経営パートナーシップ事業において、どのようなコンサルティングを展開されていますか。

森さん: 企業の事業・経営課題解決を行うために、社会課題解決の考えを取り入れ、社会性と経済性を両立した持続的な取り組みを可能とする、ビジネスモデルをつくる支援をしています。つまり、「パーパスを設計したい」「社会課題を中心とした新たな事業を立ち上げたい」、「SDGs経営を通じて社員の働き甲斐を促進したい」といった企業の需要に応えるため、本質的な社会課題をお客さまに学んでいただきながら、事業・経営課題を解決する提案を行っています。


(カードを用いたステークホルダーの立場になるSDGs研修風景)


―――SDGs経営を行っていくとき、どのようなことが重要ですか。

森さん:創業の背景まで遡り、企業・事業がどのような課題解決にむけて展開していくのか立ち返ることが重要です。近年、パーパス経営という考えの中で、企業の社会的な存在価値を見直すことが求められています。それを突き詰めて考えていくことが、企業・社会の持続可能性に繋がっていきます。「事業は事業、社会課題解決はCSR」ではなく、「事業においてどのような課題解決と向き合うのか」という繋がりを社員が実感していることが重要です。

また、SDGsの社会・経済・環境面の複数あるターゲットの関係性を正しく認識し、企業の将来を考えた際に、何がリスクになり、何が機会になるのかを見極め、向き合うことが重要です。企業が社会課題の背景を正しく理解せず、表面的な取り組みだけを行うとSDGsウォッシュに繋がる可能性もあります。欧州ではSDGsウォッシュに対する規制が加速化している流れもあります。

日本の企業課題として、社会課題を深く知らないことから、企業の事業展開を考えた際に、どのようなリスクや機会があるのかを正しく把握できていない企業が多いと感じています。


―――本質的な取り組みを行うために、EMIELD株式会社では具体的にどのようなことされていますか。

森さん:私たちは、企業のパーパス設計から、一貫した事業・組織戦略構築までを支援しています。企業を取り巻く社会課題の分析や新規事業・既存事業へ生かす戦略設計、社員の働き甲斐に繋げる組織戦略、投資家・消費者から選ばれるエシカルブランディングまで行えるのは、弊社ならではの強みです。

なぜ、このような専門性の高いサービスが展開できるかというと、弊社では国連グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパンのメンバーやNPO法人、大学の教授など社会課題の専門家と連携し、社会課題の最新情報を提供しているためです。そして、企業の方に、社会課題の本質を学んでいただけます。また、経営のコンサルタントがコンサルティングを行いますので、これらを経営力に結び付けることができます。これらにより、社会課題を解決することを前提に、企業価値が高まる提案を行っています。

また、学生に対して、SDGsの必要性を実感してもらう活動としては、これまで「写真を通じて落合陽一さんとSDGsを学ぶサマースクール」、「近畿大学で開催したSDGsとビジネスの関係性に関する講義」、中学生向けの「ダイバーシティと私」というワーク・SDGs教育を展開してきました。小学生~大学生までの学生に対して、テーマに応じてプログラムを展開しています。例えば、「平和」「ジェンダー」など学校では触れづらいテーマも、NPOと連携し、違う角度から課題を感じてもらうことで、より自分事として物事を捉えていただくことを大切にしています。


(落合陽一氏サマースクール「写真を通じてSDGsを学ぶ」での講義)


(近畿大学で開催した「SDGsとビジネスの関係性」に関する講義)

これからの挑戦や取り組み


―――今後の目標について教えて下さい。

森さん:2050年までのビジョンを見据えて、解決したい課題へのアプローチを時代の流れに合わせて柔軟にシフトしていきます。現事業においては、企業がSDGsを持続可能な形で推進できる支援を行うと同時に、「SDGsに事業を通じて携わりたい」より多くの方が参画できる仕組みを構築していきます。また、NPO法人・産学連携を通じて、多様なセクターを繋ぎ、より本質的な課題解決に注力していきます。

最後に


―――地方創生に取り組む方や起業を目指す方へ伝えたいメッセージを教えて下さい。

森さん:出産率の減少、高齢化の背景から、日本では2025年には現役世代2人で1人の高齢者を支えることになります。マジョリティ(多数派)が存在するということは同時に、マイノリティ(少数派)も存在します。SDGsの考えは「誰一人取り残さない」が根底にあります。構造的な改革は必要ですが、結果として現象面において取り残されている人たちに目をむけることも大切です。そして、これらの課題解決において、地域内におけるネットワークを強化するだけではなく、多様なセクターと連携し、社会課題と向き合う機会を創ることが重要です。ともに、社会課題の解決にむけて、挑戦し続けましょう。

企業名

EMIELD株式会社

所在地

〒530-0027 大阪府大阪市北区堂山町1-5 三共梅田ビル7階

創業年

2021年8月

代表者名

森 優希

事業内容

SDGsパートナーシップ事業
(SDGs経営コンサルティング・教育、ダイバーシティ経営コンサルティング、ソーシャルパートナーと連携した社会課題解決プロジェクト立案)

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