【活動内容と西田様について】

ー進和建設工業株式会社の主な事業内容を教えてください。
建設、不動産、住宅を主な事業としており、これまでに800棟程の賃貸マンションを建設してきました。その他にも、病院や福祉施設など、あらゆる建設、施設に関わっています。今特に力を入れている事業は、「健康住宅や環境にやさしい住宅づくり」ですね。また、私個人として、11年ほど前から学習塾も始めました。始めたきっかけとしては、会社のテーマの一つに「人づくり」があります。そのため、小中高校生に勉強だけではなく、「将来社会人としてどのように社会の役に立つか」「自分の成長をどこまで高めていくか」といった考え方を教えています。


ハウジングデザイン賞を受賞したK’s apartment の外観（写真左）とゲストルーム（写真右）


ー今までで一番印象に残っている事業内容はありますか？
日本で初めて「ローコストマンション」（安くつくれるマンション）を開発したことです。今から35年前、私は技術職から突然、社長に就任しました。しかし、営業が苦手であったことから、なかなか会社の利益を上げられずにいました。そこで、「このままでは社員の生活を守っていくことができない」といった窮地に立った時に開発したのがローコストマンションでした。ローコストマンションは少しずつ形を変えてはいますが、今でも事業の中心として力を入れて取り組んでいます。


ー社長に就任されたとき、どのような考えをお持ちでしたか？
正直、当時私は技術者だったので、社長になることはあまり考えていませんでした。しかし、「2年間という条件付きで、まずはやってみよう」ということで社長に就任しました。その時に会社を守るために3つの条件を自分の中で作りました。「借金はしない、手形は切らない、保証人にはならない」です。また、当時から今までずっと変わらずに大切にしていることも３つあります。1つ目は、「自分の頭を腐らせないこと」（学ぶことをやめない）です。常に新しい物事を学ぶために必ず1日1冊以上は本を読む生活を続けています。2つ目は、「社員教育に力を入れること」です。そして3つ目は、「お客様のニーズに対応できる会社をつくること」です。


進和建設工業株式会社　代表　西田芳明様の写真

【不動産業以外の活動について】

ー『兎にも角にも』のベーカリー屋さんはどのような思いで立ち上げられたのですか？
『兎にも角にも』は、堺市の中百舌鳥に立ち上げたベーカリーショップです。実は、きっかけはプライベートでの徳島旅行の際に、パン屋の前に人だかりが出来ている様子を見たことです。そこで、「美味しいものは人の繋がりをつくる」と考え、ベーカリーショップを作ろうと決めました。『兎にも角にも』がきっかけとなって、地域のコミュニティを作ることができれば、と考えています。


『兎にも角にも』の店舗外観

【今後目指す不動産業と街づくり】

ー更なる不動産事業発達へのカギは何になってくるとお考えですか？
富裕層向けのマンション事業だと考えております。今後広がってくるであろう、「格差」にあえて注目したいと思います。なぜなら、富裕層を豊かにすることで、社会が良くなり循環型に社会が回っていくと考えるからです。


ー建築事業と地方創生をどのように繋げていきたいですか？
私は堺に4つの地区をつくりたいと考えています。1つ目は、「ミシュランの街」です。『兎にも角にも』を始めたように、「この地域に来たら美味しいスイーツが食べられる」という街をつくりたいと考えています。2つ目は、「福祉村」です。現在、老人ホーム、デイサービス、介護施設の建設業を行っています。これらを一つの村にしたいと考えています。そして更に、そこにシェアハウスを作り、働く人のお子さんも一緒に住めるようにしたり、空き家を利用して障がい者のグループホームをつくったりしたいです。3つ目は、「アートの街」です。特に堺の「宿院」は、千利休が住んでいた場所であり、古い町並みがあります。そこに、アート的な要素を付け加えることで、街が変わっていくのではないかなと考えています。最後は「お祭りの街」です。堺市内で、もっとマンション同士のコミュニティを作ることで、ワイワイとした街をつくりたいです。この4つの街を通して地域づくりができれば、と考えています。


「高齢者施設雅庵」の写真

【最後に】

ー地方創生に取り組む若者にメッセージをお願いします！
その地域の歴史、風土、文化を前面に出して地方を活性化していくことが大事なのではないかな、と思います。建築の視点からお話させていただくと、建物にはやはり歴史があります。その歴史と、新しいものを融合させると更に味が出るのではないでしょうか。