松田 祐和
こんにちは!学生ライターのゆうわです!
今回は、6次産業化プランナーとして活躍し、地域活性化に大いに貢献されている地域活性化研究所の所長 橋本太郎さんにお話を伺いました。
幸南食糧株式会社 地域活性化研究所 所長 橋本太郎さん
生産者に寄り添い、一緒に悩みを解決する
―本日は、地域活性化研究所の活動について教えていただきたいです。
生産者が抱える課題を解決し、一次産業の6次化支援をすることで、その名の通り地域の活性化を目指しています。
6次産業とは、一次産業(農業・畜産業・漁業)・二次産業(製造・加工)・三次産業(流通・販売・交流)をかけ合わせた新しい産業のことです。本来は、一次産業に関わる生産者の方が二次・三次へと自ら事業を拡大していくという方針でした。しかし、彼らは一次産業のプロではあっても、加工・販売までを全て自分たちで行なうというのは、非常にハードルが高いことです。
そこで私たち研究所は、6次産業化プランナーとして彼らの6次産業化を手助けしています。一次産業を「儲かる産業」にすることで生産者の所得はアップし、生産者が元気になれば地方が活性していく。私たちはそのために、生産者が抱える課題解決のお手伝いをしています。
ー具体的にはどのような事業に取り組んでいるのですか?
今私が特に力を入れているのが、福島県・会津地方との取り組みです。
福島は農業・畜産業などが非常に盛んな地域で、野菜やお米が美味しく育つ環境がそろっています。しかし、2011年の東日本大震災によって発生した原発事故が風評被害を招き、福島の生産者の方々は甚大な被害を被りました。
そんな彼らの想いを消費地に広げよう、彼らを助けようと決心し、福島の名産品(アスパラガス・お米など)のPRを通して、6次化のお手伝いをさせてもらっています。
そしてもう一つ、「赤鬼飯」という商品の開発を手助けさせてもらいました。
兵庫県の丹波市では、丹波三宝の一つとして大納言小豆が有名なのですが、ブランドが確立されているのにもかかわらず生産者が年々減っているんです。
400年前から丹波で代々小豆を生産している方から、丹波の小豆の魅力を発信していけないか相談を受けました。
そこで私たちは、小豆として流通させるだけではなく、通常の5倍の量の小豆をいれた赤飯を作ろうと企画しました。
地元のクリエイターによって制作された「赤鬼飯」のPR動画
こうして誕生した商品が「赤鬼飯」です。赤鬼は、戦国地方に織田信長が攻め苦しんだ丹波の黒井城の城主・赤井直正が「丹波の赤鬼」と呼ばれていたことが由来です。
そんな赤井直正が病死した途端、黒井城は落城してしまったのです。
「赤鬼飯」から「鬼」を取れば、(城を攻め落とせて)赤飯となる。かつて赤鬼と呼ばれた地元の武将への敬意も込めて、赤鬼飯と名づけました。
ー本当に多種多様な事業を手がけていらっしゃるのですね!ちなみに、そういった商品はどこで販売されることが多いのですか?
多くのお店で幅広く扱ってもらっています。例えば、郵便局の窓口販売・百貨店サービスエリア・ネット販売などですね。ちなみに赤鬼飯は、年間で約2万個売り上げることができました。1個680円で販売しているので年間1,200万近くの売上を出せており、生産者の所得アップにもつながっています。
原動力は「人助け」と「情熱」、そして「七転八起」の精神
全国の生産者支援に奔走する橋本さんの原動力とはー
―想像以上に多岐にわたる事業に取り組んでいらっしゃるのですね。全国の生産者さんを助けるために、橋本さんをそこまで突き動かす原動力とは何ですか?
相談してくれる生産者の人と直接関わると、「これはなんとかしてあげなあかんな」って思うんですよね。友達が困っているから助ける、みたいな感覚です。自分のできることをやって、その人に喜んでもらえたり感動してもらえるなら何よりですよね。
あとは何より、情熱ですね。日本の自給率の問題などもありますし、そういった課題にいかに情熱的に取り組めるかです。人生一度きりですからね。
ー何かをやり遂げる上で、パッションは大事ですよね。ただ、これまで上手くいかなかったこともいくつかあると思うのですが、橋本さんはそれをどうやって乗り越えてきましたか?
今までお話してきたのは成功事例ですが、もちろん成功の陰には失敗も多くあります。作った商品が全く売れなかったこともありました。生産者さんのために努力したことが逆効果だったこともありました。このときに大事なのは、失敗からいかに学ぶかということです。失敗したからといってネガティブになって諦めるのではなく、勉強になったと思って次に活かす。まさに、私の座右の銘「七転八起」です。
地域活性における、学生の大きな役割
ー私たち学生は、地域活性化にどのように貢献できるでしょうか?
実は先ほどの「赤鬼飯」の開発は、地元の学生の力を借りて成せたのです。それ以外にも、「大阪生まれのトレビスリゾット」という商品を開発したときも、学生の役割が大きかったです。
大阪ではトレビスという野菜が栽培されており、もともと市内のイタリア料理店に販売する予定でした。しかし、コロナの影響でトレビスの売り先がなくなってしまい、トレビスを加工品として販売したいと生産者さんから相談を受けました。この事業では、地元の大学生に商品開発の協力をしてもらいました。
地元の大学生と「大阪生まれのトレビスリゾット」について話しあう橋本さん
地元の大学のゼミで特別講師として月2回講義をさせてもらい、デザイン科専攻の学生に商品のデザイン・ネーミングをお願いしました。「大阪生まれのトレビスリゾット」を販売してからは各方面から取材を受け、商品開発は成功裏に終わりました。
ー「赤鬼飯」も「大阪生まれのトレビスリゾット」も、地元の学生の熱意あっての商品なんですね!
学生は社会人としての経験がなく、できることも限られています。
それでも、学生たちに彼らの地元に関する課題を与えると、「自分の地元のために何か手伝えることはないか」と考え、課題に取り組みはじめます。このように地域活性化は、地域の行政だけでなく地域に住む人みんなを巻き込んで取り組むことで、初めて達成できるんです。
「大阪生まれのトレビスリゾット」開発を手がけた地元の大学生
ー最後に、「Made In Local」を読んでいる方(特に若者)へのメッセージをお願いします!!
これからの日本を創っていくのは、10代・20代の若い人たちです。
東京・大阪などの都市部だけじゃなく、地方を創生することで日本を元気にしてほしいです。地方が元気になると日本全体も活性化しますからね。若い力を注いでいってほしいなと思います。
企業名 | 幸南食糧株式会社 地域活性化研究所 |
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所在地 | 〒545-6029 大阪府大阪市阿倍野区阿倍野筋1-1-43 あべのハルカス29階 |
設立 | 2018年8月 |
代表者 | 所長 橋本太郎 |
事業内容 | 生産者の6次産業化支援 |
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