お久しぶりです!昔懐かしい、みんな大好きなおやつの「知らなかった!」を紹介する、おやつ探偵兼学生ライターの友近史歩(ともちか・しほ)です。

File.02の調査対象は、三角形が特徴的な「おにぎりせんべい」です。

ふっくらサクサクのお米の生地に、子どもも食べやすい甘口しょうゆで味付けをされており、仕上げには香り高い焼き海苔がのせられています。
ところが、このおにぎりせんべい、東日本では「食べたことがない」という人も少なくないのだとか…。

なぜ三角形なのでしょうか?なぜ西日本で広く親しまれるようになったのでしょうか?

今回も、3つの手がかりから、「おにぎりせんべい」誕生の謎を追ってみましょう!

🔗今回の調査対象
・名前:おにぎりせんべい
・出身地:三重県
・誕生年:1969年
・会社名:株式会社マスヤ
・特徴:おにぎりのような形をした、甘口しょうゆ味のせんべい
・地域性:特に西日本で親しまれている定番のお菓子

手がかり①「今までにないせんべい」を作りたい?


おにぎりせんべいが生まれたのは1969年です。当時は、せんべいといえば四角形や丸形が一般的で、硬くて噛み応えのあるものが主流でした。

そこで、おにぎりせんべいの生みの親であるマスヤが考えたのが、せんべいの常識にとらわれない、三角形でソフトな食感のせんべいです。

株式会社マスヤは、1965年創業で、三重県伊勢市に本社を置く米菓メーカーです。創業者の浜田益嗣(ますたね)氏は、伊勢名物である赤福の10代目当主であり、地域限定から広く展開できる商品を生み出すために会社を設立しました。

マスヤの看板商品であるおにぎりせんべいは、「三角形のせんべいがあってもいいのでは?」、「ソフトな食感のせんべいがあってもいいのでは?」という自由な発想から開発がスタートしたのです。

完成までには試行錯誤が積み重ねられ、三角形のお米の生地から「おにぎり」を連想させるため、「おにぎりせんべい」と名付けられました。

当時のせんべい業界の「革命児」として誕生したのが、ふっくらサクサクとした独特の食感を持つおにぎりせんべいです。

手がかり②華々しいデビューが「西日本の定番」を生んだ?


せっかく生まれた新感覚のせんべいである「おにぎりせんべい」を、マスヤは、華々しくデビューさせたいと考えました。

パッケージは、オレンジ色緑色の縞模様で、日本古来の伝統芸能である歌舞伎の「定式幕」をイメージした、現在にも続く印象的なデザインになっています。

おにぎりせんべいの初舞台を華々しく飾るように、売り場でもメインの場所に置いてもらおうと、マスヤは同郷である三重県の量販店に協力を依頼しました。売り場の一番目立つところに並べてもらったことで、おにぎりせんべいは多くの人の目に触れる機会が生まれたのです。

当時、1週間に3袋売れればヒットといわれていたところ、おにぎりせんべいは、なんと1週間で7袋を販売し、好調なスタートを切りました。その後、口コミによっておにぎりせんべいは愛知県・広島県・福岡県などへ人気を広げていきました

一方で、おにぎりせんべいは東日本ではなかなか定着しませんでした。理由の一つとされているのが、「地域によるしょうゆ文化の違い」です。関東では甘味料を加えていないすっきりとした塩味の「濃口醤油」が好まれる傾向にあるため、甘口のしょうゆを使ったおにぎりせんべいの味は合わないと感じる方が多かったのではないでしょうか。

関東向けに「関東しょうゆ味」のおにぎりせんべいも発売しましたが、思うように広がらず、東日本での普及にはつながりませんでした。結果として、おにぎりせんべいは西日本を中心に親しまれるおやつとなっていきました。

現在では東日本でも販売店舗が増え、少しずつ知名度を高めています

手がかり③50年以上愛される秘密は「変わらない挑戦」?


長く愛される定番商品には、変わらないおいしさがあります。

おにぎりせんべいも、やみつきになる甘辛いしょうゆ味にこだわり、だしのうまみを生かした味わいが特徴です。実は、時代や消費者の好みに合わせて、調味料の配合を少しずつ変えています。

定番の味を守る一方で、「おかか味」・「梅しそ味」・「和風カレー味」などの限定フレーバーの製造にも挑戦し、消費者を飽きさせない工夫も続けています。

さらに2020年には、新型コロナウイルスの影響による巣ごもり生活のなかで、マスヤは、「お菓子の力で日本を元気に」という思いから「#おかしつなぎ」キャンペーンを実施しました。SNSを通じて、多くの人から温かい励ましの声が寄せられたといいます。

マスヤが掲げるのは、「いつも変わらないおいしさとワクワクドキドキをお届けします」という思いです。伝統を守りながらも、新しいことへの挑戦を続けており、近年ではAIを活用したおにぎりせんべいの商品開発にも取り組むといった「挑戦するDNA」は現在にも受け継がれています。


【調査報告】おにぎりせんべいは「変わらないために、変わり続ける」


今回の調査で分かったのは、おにぎりせんべいが最初から「定番のお菓子」として生まれたわけではなかったということです。

当時のせんべいにはなかった三角形とソフトな食感に挑戦し、華やかなパッケージで世に送り出したことで、おにぎりせんべいは少しずつ人気を広げていきました。

そして現在も、甘辛いしょうゆ味を守りながら、新しい味や商品開発に挑戦しています。

「いつも変わらないおいしさ」「ワクワクドキドキ」。正反対にも思える2つを大切にしているからこそ、おにぎりせんべいは50年以上にわたって愛され続けているのかもしれません。

【最終調査】あなたの地域では「おにぎりせんべい」は定番?


三角形の形を見れば、思わず「おにぎり」を連想するおにぎりせんべい。

誕生の裏側には、「こんなせんべいがあってもいいのでは?」という自由な発想と、挑戦を続けるマスヤの姿勢がありました。

西日本ではおなじみのおにぎりせんべいも、地域が変われば「知らないお菓子」になることもあります。

あなたの地域では、おにぎりせんべいは定番ですか?

まだ食べたことがない人は、三角形の1枚を手に取って、50年以上続く「おにぎりせんべい」の歴史を味わってみてはいかがでしょうか。

参考


ONIGIRI CLUB|おにせんトリビア
Walkerplus|西日本の定番おやつ「おにぎりせんべい」って知ってる?東日本で定着しない理由とその魅力に迫る
株式会社マスヤ|おにぎりせんべいブランドサイト
note|いよぉっ!おにぎりせんべい
e-お菓子ねっと|株式会社マスヤ
Walekrplus|伊勢発! サクッと軽やかな三角形の「おにぎりせんべい」

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