- エリアトップ
- 地域を楽しむ
- 地域を知るメニューを閉じる

時空を超えた2人を結んだのは、1本の「組紐」でした。
映画『君の名は。』をきっかけに、「組紐」という言葉を知った人も多いのではないでしょうか。簡単にイメージするならば、組紐は少し高級感のある「ミサンガ」と言えるかもしれません。
『君の名は。』の中で、ヒロイン・三葉が髪を結んでいた赤い「組紐」は、東京で主人公・瀧の手首につけられ、物語の終盤で再び三葉のもとに戻っていきます。赤い組紐は、時空を超えた2人の運命を結ぶ重要なモチーフとして描かれました。
実は、組紐は映画の中で生まれたものではなく、日本で古くから受け継がれた伝統工芸の1つです。そして、三重県の北西部にある伊賀市は、「伊賀くみひも」と呼ばれる組紐の産地として知られています。
映画で注目を集めた「組紐」は、どのように日本の文化として受け継がれ、なぜ伊賀で発展したのでしょうか。
今回は、長い歴史を紡いできた「伊賀くみひも」の魅力に迫ります!
時代とともに用途を変えた「組紐」の歴史
そもそも、「組紐」とは何なのでしょうか。
組紐とは、数本から数十本の絹糸や綿糸を規則正しく交差させて組み上げた日本の伝統的な紐のことです。優れた伸縮性と強度を持ち、糸の組み合わせによって美しい陰影や模様を表現できるのが特徴です。
見た目の美しさと実用性を兼ね備えた組紐は、時代とともに用途を変えながら、人々の暮らしの中で受け継がれてきました。
組紐の起源は、奈良時代に仏教伝来とともに大陸から伝わったことにあるといわれています。東大寺の正倉院に保存されている楽器にも、装飾として組紐が使われています。
平安時代になると、組紐は、貴族が着用した男性用正装「束帯」に使用され、装飾品としての芸術性が高まりました。
その後、組紐は、鎌倉時代には武士の武具・室町時代には茶道具の飾り紐・戦国時代には鎧・江戸時代には刀や剣の飾り紐などに使われてきました。
このように、組紐は、時代の移り変わりとともに用途を柔軟に変えながら、長い歴史を紡いできたのです。しかし、明治時代に入ると、組紐は衰退の危機に直面します。
なぜ三重県伊賀市で組紐が有名なの?
1876年(明治9年)に明治政府によって「廃刀令」が出されると、刀や剣の飾りなどに使われていた組紐の需要は減少しました。
組紐が衰退の一途をたどる中で、伊賀市の組紐産業が発展するきっかけとなったのが、廣澤徳三郎氏です。東京で江戸組紐の技術を習得した徳三郎氏は、1902年(明治35年)、故郷である三重県伊賀市に組紐工場を開設しました。
当時の伊賀市には、組紐産業が発展するための条件がそろっていたのです。組紐に欠かせない絹糸の生産に適した気候や風土に加え、装飾品の産地である京都府にも近いという地理的な利点がありました。また、近代工業がまだ十分に発達しておらず、女性の労働力が豊富だったことも、組紐産業の発展を支えたとされています。
こうして伊賀市では、京都府の問屋の下請けとして組紐の製造が始まりました。その後、1939年(昭和14年)には下請けや賃加工から脱却し、自家製品として「伊賀くみひも」の製造が本格化します。
徳三郎氏以来の伝統である「手組み」に加え、技術開発による「機械組み」も取り入れられ、伊賀市の組紐産業は大きく発展していきました。現在も伊賀市は、国内を代表する組紐の産地として知られています。
そして1976年(昭和51年)には、「伊賀くみひも」が通商産業大臣(現在の経済産業大臣)によって国の伝統的工芸品に指定されました。
一度は需要の減少によって衰退の危機に直面した組紐ですが、伊賀市の環境・人々の技術・時代に合わせた製造方法が組み合わさり、「伊賀くみひも」として新たな道を歩み始めたのです。
1本の「組紐」ができるまで
では、昔ながらの伊賀くみひもは、どのようにして作られるのでしょうか。
組紐づくりは、大きく6つの工程に分けられます。
まず行うのが「糸割り」です。
制作する組紐の技法・大きさ・長さに合わせて、必要な糸の分量を仕分けます。次に、量った糸を色見本に合わせて染める「染色」を行い、染色した糸は乾燥させます。組みやすいように糸を小枠へ巻き取る「糸操り」は、その後の作業をスムーズに行うために欠かせない工程です。
続いて、糸を決められた太さや長さに整える「経尺(へいじゃく)」を行います。その後、「撚(ね)りかけ」と呼ばれる工程で糸をねじり合わせ、組紐に必要な強さ・伸縮性・手触りを持たせます。
そして最後が「組み」です。糸をおもりとなる玉に巻き付け、組台を使って糸を組み上げていきます。組台には、さまざまな組み方に対応できる「丸台」・玉数の少ない紐を組むのに適した「角台」・複雑で多様な柄を組むことができる「高台」など多くの種類があり、作る組紐の種類や仕上がりによって使い分けられています。
一見すると1本の紐に見える組紐ですが、その1本が完成するまでには、糸の量・色・長さ・撚り方を細かく調整する工程があります。職人の技術と手間があってこそ、美しい伊賀くみひもが生まれているのです!
自分だけの「伊賀くみひも」を作ろう!
伊賀くみひもは、伝統的な「手組み」の技術が受け継がれており、美しく染められた糸が織りなす独特の風合いも魅力の1つです。
伊賀くみひもの長い歴史と、職人技が光る製造過程を学んだところで、最後に、実際に「伊賀くみひも」を作れる体験スポットを3つご紹介します。
①【手軽さと気軽さなら】伊賀くみひもセンター
伊賀くみひもセンターは、三重県組紐共同組合が運営しており、キーホルダーやブレスレットを作る組紐体験を楽しめます。丸台を使い、インストラクターの指導を受けながら、実際に糸を組んでいきます。組紐体験の個人利用の予約は必須でないため、思い立った時に気軽に伝統工芸に触れられるスポットです。
📌伊賀くみひもセンター「組匠の里」
・📍住所:〒518-0873三重県伊賀市上野丸之内116-2
・🔗公式HP:http://www.kumihimo.or.jp/
・🚶アクセス:伊賀鉄道「上野市駅(忍者市駅)」から徒歩約5分
・⌚営業時間:9:00~17:00
・📅定休日:毎週月曜日(祝日を除く)
・📞お問い合わせ(電話):0595-23-8038
・🎫組紐づくり、料金:2,000円、所要時間:40分、※団体予約は事前予約必須
②【老舗の本格技を学ぶなら】元祖伊賀くみひも 廣澤徳三郎工房
廣澤徳三郎工房は、1902年(明治35年)創業で、伊賀に組紐の技術を広めた初代・廣澤徳三郎氏から続く老舗です。店内では伝統的な組紐の展示や帯締めの実演を見られるほか、丸台を使ってキーホルダーやブレスレットを作る体験もできます。約20分から気軽に挑戦できるため、老舗ならではの技術に触れてみたい人におすすめです。
📌元祖伊賀くみひも 廣澤徳三郎工房
・📍住所:〒518-0878 三重県伊賀市上野西大手町3635-1
・🔗公式HP:https://www.ict.ne.jp/~toku-3/
・🚶アクセス:伊賀鉄道「西大手駅」より徒歩1分
・⌚営業時間:10:00~17:00
・📅不定休
・📞お問い合わせ(電話):0595-21-1127
・🎫組紐づくり、料金:1,500円、所要時間:20分、※事前予約必須
③【見学とグループ体験なら】松島組紐店
松島組紐店は、1932年(昭和7年)創業で、実際の工房で職人が組紐を作る様子を見学できます。丸台を使った体験教室では、キーホルダーやストラップなどの小物を自分で組み上げることができます。職人の手仕事を間近で見ながら、伊賀くみひもの技術をより深く知りたい人にぴったりのスポットです。
📌松島組紐店
・📍住所:〒518-0837 三重県伊賀市緑ヶ丘西町2393-13
・🔗公式HP:http://www.iga-kumihimo.com/
・🚶アクセス:伊賀鉄道「桑町駅」より徒歩12分(Google Map参照)
・⌚固定の営業時間はなし、要連絡
・📞お問い合わせ(電話):0595-21-1137
・🎫組紐づくり:5名から10名のグループ対象、所要時間:60分、※事前予約必須
おわりに
『君の名は。』では、1本の組紐が2人の時間を結ぶ大切な象徴として描かれていました。
一方、現実の組紐もまた、長い年月をかけて人から人へと技術が受け継がれ、今日までその姿を残しています。奈良時代から続く歴史の中で、時代ごとに用途を変えながら人々の暮らしに寄り添ってきた組紐の伝統は、三重県伊賀市では「伊賀くみひも」として今も息づいています。
何本もの糸が1本に組み上がっていくように、職人たちが紡いできた技術と長い時間が重なりを感じられる伊賀くみひもを、今度は自分の手で組んでみるのはいかがでしょうか。
自分だけの時間を使い、自分だけの組紐を作ることで、1本の紐に込められた歴史や職人の技を、肌で感じられるかもしれません。
参考
・中川政七商店の読みもの|伊賀くみひもとは
・おかげ横丁|くみひも平井
・伊賀くみひも専門店|伊賀くみひもの歴史
・歴史の情報蔵|高いシェア誇る「伊賀の組紐」
・組紐工房葵杏|組紐とミサンガの違い
・公式HP|伊賀くみひもセンター
・公式HP|廣澤徳三郎工房
・観光三重|元祖伊賀くみひも 廣澤徳三郎の店
・公式HP|松島組紐店
エリアから探す
北海道・東北
関東
中部・北陸
近畿
中国・四国
九州・沖縄
お問い合わせ
掲載依頼・取材依頼・Made In Localシリーズおよび地域を代表する企業100選についてのお問い合わせ等、承っております。まずはお気軽にご相談ください。
会社概要
Made In Localは、株式会社IOBIが運営する地方創生メディアです。弊社では現在、事業拡大につき、新卒・中途ともに積極的に採用活動を行っております。 ご興味のある方はぜひご一読ください。
Made In Localは地方創生メディアの運営を通して地域の産業振興や地域間格差の是正に取り組んでおり、「産業と技術革新の基盤をつくろう」・「人や国の不平等をなくそう」・「住み続けられるまちづくりを」の3つのSDGsのターゲットの実現を目指しています。

































































