ブルペンキャッチャーから、メジャーリーガーへ。
誰も予想しなかった逆転劇は、ある選手の“挑戦”と、ある男の“支え”によって実現した。
野球指導者の谷口容基さんと、ロサンゼルス・エンゼルス所属のグスタボ・カンペーロ選手は、かつてドミニカ共和国のアカデミーのルームメイトでした。そんなかけがえのない仲間である2人が、現在はパーソナルコーチとプレイヤーとして世界最高峰の舞台へ挑んでいます。
今回は谷口さんのインタビュー連載第2弾として、グスタボ・カンペーロ選手が切り拓いた夢への道の一途に迫ります。
ぜひ最後までご覧ください。
【第1弾の記事はこちら】
https://madeinlocal.jp/category/sporkle/044
グスタボ・カンペーロ選手がメジャーデビューするまでの道のり

カンペーロ選手がメジャーリーグの契約を掴んだ経緯を教えてください。
カンペーロはコロンビア出身で、ドミニカ共和国のアカデミーを経て18歳でニューヨーク・ヤンキースとの契約を掴みました。周りに比べて年齢が高かったので、正直期待値も高くない状態からのスタートだったんです。そこから努力を重ねて、2024年に27歳でメジャーデビューを掴み、その年にはMLBで13試合に出場して打率.239という成績を残しました。
彼はマイナーリーグで8年間プレーしてきましたが、ここまで長くやってきた選手はなかなかいないと思うんですよ。MLBでは選手がリリースされるのも早いですし。2022年はAAのロケットシティ・トラッシュパンダズで6試合しか出場できなかったんですけど、実はカンペーロはこのときブルペンキャッチャーをしていました。
彼自身も、この経験はものすごく大変だったと言って、とても悔しがっていたのを覚えています。この思いを糧に母国・コロンビアのウィンターリーグに参加して、打率.333、長打率.480、OPS.900の成績を残すことができました。この結果もあって、2023年にはWBC(World Baseball Classic)の代表メンバーに選ばれ、予選リーグのメキシコ戦では決勝打を放ちました。
ここからマイナーリーグでも、徐々にレギュラーとして試合に出場することができるようになり、2024年にはAAでホームラン14本を打って8月にAAAへ昇格、その後1ヶ月ほどで初めてメジャーの舞台に立ちました。
初めてメジャーの試合に出場する姿を見たときには、きっと感無量でしたよね。
忘れもしないですね。最初がヒューストン・アストロズ戦で、最初の打席はセカンドゴロ、第2打席のファーストゴロで初打点を記録したんです。その後、シカゴ・ホワイトソックス戦でレフト前に初ヒットを放ちました。その光景は鮮明に覚えています。
誰もカンペーロがメジャーの舞台に立てるなんて予想していなかったんですよ。2022年にブルペンキャッチャーを経験したときには、もう厳しいかなって思いました。MLBの舞台でプレーする彼の姿を見たときは本当に嬉しかったですね。
メジャー昇格を果たせた要因としては、打撃が向上したことが大きかったですか?
それがいちばん大きかったと思います。あとは試合に出られなかったシーズンに、たくさん筋トレをしたみたいです。体がすごく大きくなって、パワーが増してボールがよく飛ぶようになりました。
彼はすごく逆境に強い選手です。試合にも出してもらえない、ロースターにも入らせてもらえない、チャンスがないというネガティブな状況が長く続いたんですけど、視点を変えればすごく時間があると捉えられます。その時間を使ってトレーニングにフォーカスした結果、全然違う選手になれたと言っていましたね。彼の前向きな姿勢をすごく尊敬しています。
メジャーデビューを果たしたカンペーロ選手へ指導も!?
実際にカンペーロ選手のプレーをアメリカに見に行かれたのですか?
彼がメジャーに上がったときに、嬉しすぎて速攻航空券を買って見に行ったんですよ。そこで久しぶりに再会して、試合で活躍する姿も見ることができて本当に感動しました。その当時、彼は「来年(2025年)はすごく大切な年になる」と事ある度に話していたんです。
その後、僕は2025年1月にYouTubeの撮影のためにドミニカへ行ったんですけど、カンペーロもアメリカのビザを取得するためにたまたまドミニカに来ていました。そこで外野手・捕手としてこれまでプレーしてきた彼が「内野手をやりたいから守備を教えてほしい」と依頼してくれたので、僕が教えることになったんですね。
教えたのは基本的なことでしたが、短期間で上達してくれました。練習以外にも一緒に食事へ行くこともあり、「勝負の年だから頑張れよ」といった話をしました。
☆メジャーリーグの試合観戦へ行った様子はこちら!
【急遽アメリカへ】弟がついにメジャーリーグに上がりました!
https://youtu.be/pwaKi_zXDj8?si=0yBO4KfFuVoYlv__
【涙腺崩壊】メジャー観戦2日目!衝撃の結末が待ってました!
https://youtu.be/gB6VCcf1sJw?si=xoolUUHFUQTVeUrB
☆カンペーロ選手への指導の様子はこちら!
【超貴重】まさかメジャーリーガーに内野守備を教える日が来るとは
https://youtu.be/CIRCL3ITasI?si=OJYU2D6OswUjaqbO
【続編】エンゼルスのカンペーロ選手に内野守備を徹底指導!!
https://youtu.be/XXaeGeqvBL4?si=lUdYzOY-FCncMkzO
カンペーロ選手の2025シーズンはいかがでしたか?
僕の友人がアメリカでビジネスをしたいと話していたことがきっかけで、2025年のお盆の頃にアメリカへ再び渡りました。ちょうどロサンゼルス・エンゼルスとロサンゼルス・ドジャースの2球団によるフリーウェイ・シリーズが開催されていたので、応援に行こうかと思っていたんです。
ただ、僕が東京から離陸する10分ぐらい前にカンペーロはフェンスに衝突し、怪我をしてしまい、そのまま担架で運ばれました。彼の2025シーズンはここで終わってしまったんです。僕は到着するや否やホテルに直行して、「やっちまった」みたいな顔をした、脚を固定している姿の彼に会いました。2025年が大事だってあんなに言っていたので、本当に悔しかっただろうなって。なかなか思うように結果も出なくて、レギュラー争いも激しいシーズンだったと思います。
その当時、メジャーリーガーはスター選手だからマネージャーとかがてっきりいるもんだと思っていたんですけど、蓋を開けたら1人で生活している選手が多かったです。僕はそれを全く知らなくて。ただ僕自身もプレイヤーとしてやってきたので、1人で戦うことのプレッシャーやメンタル面のしんどさは知っています。だからこそ僕がそばにいてあげたいと思いましたし、僕の知識が彼にとってプラスになれば嬉しいなと思いました。
カンペーロと二人三脚の挑戦が始まる

その後、どのようにカンペーロ選手のサポートを行っていたのですか?
以前ドミニカで指導したことを実践して、それがすごく役立っているとカンペーロが言ってくれたんです。怪我をする試合の前にもビデオ通話でアドバイスをしていて、それを意識した結果、彼は山本由伸選手から打点を記録することができました。その記録を僕の成果だと評価してくれましたね。
怪我をして落ち込んでいたときには「日本からいつでも飛んでこれるから頼ってくれ」とカンペーロに伝えました。そして、2025年のコロンビアウィンターリーグから彼に帯同して、パーソナルコーチとして一緒にやっていくことになりました。
選手に対して、なぜそんなに的確なアドバイスができるのか気になります。
僕自身がすごく下手くそで、不器用だったのが良かったんです。下手だったからこそたくさん練習をして、いろんなことを試しました。その結果、知識とスキルが蓄積されたんだと思います。
もうひとつ、人間はコードを入力すれば動く機械ではないので、感情を理解してあげることをすごく大切にしてきました。一緒にベストの状態を探すみたいな。授業をするというより、一緒にプロジェクトに取り組む感覚に近いですね。
その指導の結果、メジャーの舞台でカンペーロ選手が活躍してくれるのは素晴らしいことですね。
そうですね。数字に出ないような小さな成長もたくさんありますし、カンペーロも「結果が出ている」と僕の指導を評価してくれています。
2025年末に日本を出て、ウィンターリーグのときから一緒に暮らしているのですが、僕が到着した頃に彼は大不調に陥っていて、ドミニカのチームからリリースされてしまいました。
少し休養を取ったのちに、「コロンビアのウィンターリーグでプレーする」と話していたので、プレーオフまで一緒に帯同しました。打率が少し上がりましたし、出塁率と長打率を足したOPSも過去最高の数値でした。メジャーリーグではこのOPSがいちばん評価されるポイントです。
僕にとって外国人を教えるのは初めての経験で、言語も感覚も全く違うので、最初は「全然わかんないな」と思っていました。アカデミーで一緒にいたと言っても、最後に会ってから約7年も経っていたので。彼がどんなアドバイスを求めているか、逆にどういうことを言われたくないのか、特徴を掴むのに少し時間はかかりました。
一方でそれを掴んでからは一緒にルーティーンを作ったり、僕のアドバイスをもとに2人で試行錯誤したりすることで、状況がよくなっていきましたね。
カンペーロ選手の2026年シーズンの展望はいかがですか?

追い込まれてからのアプローチがだいぶ変わると思います。また、2025年には年間最優秀投手に贈られるサイ・ヤング賞を受賞したタリック・スクーバルからホームランを打ったんです。数字にはなかなか出なかったですが、カンペーロは本当にポテンシャルが高いので、長打も増えていくと思いますね。
彼は現在34人いるコロンビア出身のメジャーリーガーで33人目にあたる選手ですが、スイッチヒッターでメジャーへ行ったのはカンペーロだけです。両打席でホームランを打っているのも彼だけですね。
彼の歩んできた道はスター街道ではないですし、生まれ育ったところも井戸水を汲んで生活するような地域なんですよ。身長も170cmくらいで、野球選手としては決して大きくないです。そんな彼も挑戦を続けてメジャーリーガーになるという夢を掴みました。
僕自身も高校ではメンバー外だったところから、海外のプロリーグまで辿り着きました。諦めないことは本当に大切だし、みんなにチャンスがあるんだよということを知ってほしいです。
勇気を出して挑戦することは本当に大切ですね。
そうですね。でも、一歩踏み出すことは怖いと思います。僕も最初にドミニカへ渡った時はカルチャーショックを受けましたし、何かに挑戦するときは周りの目も気になるじゃないですか。
それと僕もカンペーロも、これまでうまくいかないことだらけだったんです。僕はいろんな国にトライアウトを受けに行ったけど、結局メジャーリーガーにはなれなくて。彼もずっとマイナーでもがいてきて。でもそこで最後まで折れずに頑張ることによって成果を得られると、僕は自分の野球から教えてもらいました。そしてカンペーロが僕の「メジャーに行きたい」という夢も叶えてくれました。本当にありがたいことです。
今ではエンゼルスのマイク・トラウト選手など、メジャーリーグの大スターが毎日目の前を横切るんですよ。菊池雄星選手から、ライブBP後にカンペーロへのフィードバックをいただいたことがありました。未だに信じられないことばかりですが、挑戦したからこそ今があると思います。
2026年のWBCにも、カンペーロはコロンビア代表として選ばれていて、僕も一緒に帯同させてもらうことになりました。日本へ帰国後にその経験についてもお話ししたいと思います。
終わりに
挑戦の先にしか見えない景色がある。
この言葉をカンペーロ選手と谷口さんの経験が物語っています。
カンペーロ選手が置かれた場所は決して恵まれた環境ではありませんでしたが、それでも挑戦をやめなかった結果、MLBやWBCという夢の舞台への切符を掴むことができました。そして、その歩みを見守り、支え続けた谷口さんもまた夢を叶えた1人なのです。
2人の挑戦はまだまだ続きます。次はどんな景色を見せてくれるのでしょうか。
次回は谷口さんがWBC・コロンビア代表に帯同した経験についてお話を伺います。
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