一人ひとりが意識を変えるところから始まる -慶應義塾大学 SFC 研究所xSDG・ラボ-
板西 清香

こんにちは!ライターのさやかと申します。
近年よく耳にする SDGs。
SDGs 達成に向けて活動している研究プロジェクトがこの日本にあるのをあなたは知っていますか?
今回は、蟹江憲史教授が代表を務める xSDG ・ラボのメンバーである佐久間信哉先生に、xSDG・ラボの活動について取材させていただきました。

蟹江憲史氏
慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科教授。
専門は、国際関係論、地球システムガバナンス。同大 SFC 研究所xSDG・ラボ代表。日本政府SDGs 推進本部円卓会議委員、内閣府地方創生推進事務局自治体SDGs 推進のための有識者検討会委員などを務める。

佐久間信哉氏
慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科 特任教授。
中央大学法学部政治学科卒業。長年、地方公共団体で、さまざまな政策づくりに関わった後、現職。慶應義塾大学 SFC 研究所xSDG・ラボメンバー等複数の研究室に所属する傍ら、湘南みらい都市研究機構事務局長、鎌倉市行政委員、湘南鎌倉医療大学評議員、医療法人や企業等の理事やアドバイザーを務める。

SDGs に出会ったきっかけ

―佐久間先生が SDGs に出会ったきっかけは何ですか。
佐久間先生:蟹江さんがxSDG・ラボを立ち上げるときに、「一緒にやりませんか」
と誘われました。私は地方自治体出身なので、その部分でお役に立てるかと思いました。

xSDG・ラボとは

―xSDG ラボの“x”とはなにを意味しているのですか。
佐久間先生:何にでもSDGs を掛け合わせて色々な優良な事例を発信していこうということに因んでいます。

―ラボと研究コンソーシアムがあるとのことですが、二つの違いはなんですか。
佐久間先生:SFC 研究所において、ラボとは、研究テーマごとによる研究組織を表します。
研究コンソーシアムというのは、複数の企業や自治体など産学連携体制により推進する共同研究の仕組みです。
(慶應義塾大学SFC 研究所研究活動 https://www.kri.sfc.keio.ac.jp/ja/activity/
2017 年10 月に xSDG・ラボを立ち上げて、その翌年の 6 月にxSDG コンソーシアムを設立しました。
未来に向けたビジョンを共有して協同する仲間である企業や自治体といったステークホルダーの皆さんと研究者とのコラボレーションによって優良事例、あるいは先進事例を作って、日本から世界に発信し、スケールアップをはかっていくことを目指しています。

xSDG・ラボの活動

―これまでの活動内容を具体的に教えてください。
佐久間先生:年に3、4 回コンソーシアム・ミーティングを実施しています。
分野の専門家と国の省庁の方、実際にSDGs の最前線で政策を作っているような方がオブザーバーで入っています。
また、課題別の分科会を設定し、月1、2 回程度実施しながら、個別課題について、掘り下げています。
これまでの分科会活動として、2018 年度から 2020 年度にかけて、認証分科会、金融アセスメントプラットフォーム分科会、プラスチック問題分科会、新型コロナウィルスとSDGs 分科会を実施してきました。
認証分科会では学術論文の発表、金融アセスメントプラットフォーム分科会では「企業のための SDGs 行動リスト」、新型コロナウィルスと SDGs 分科会では 「コロナの経験を踏まえたSDGs 達成へのカギとなる12 の方策」を公開しています。
(慶應義塾大学SFC 研究所xSDG・ラボ 研究・活動成果
https://xsdg.jp/research.html#frame

慶應義塾大学SFC研究所xSDG・ラボ xSDGコンソーシアム

2021年度第1回コンソーシアム・ミーティング(202年6月23日開催)の様子


―今現在進行中の分科会について教えてください。
佐久間先生:2021 年度は、未来財務情報 xSDG 分科会、シナジー・トレードオフ指標分科会を実施しています。
未来財務情報xSDG 分科会の「未来財務情報」とは、未来の企業をはかるための情報のことです。
一般的に今までの財務情報は、売上、株価、生産性といったクラシックな企業評価のことですが、未来財務情報では、今まで非財務情報といわれていたものです。
ジェンダーや人権に対してどのように企業が対応しているか、また、どのような労働環境であるかは財務情報にはでてきませんが、未来財務情報という観点から見れば非常に重要なことです。
未来財務情報xSDG 分科会では SDGs の観点による非財務情報の取り扱い方、ガイドラインを検討しています。
シナジー・トレードオフ指標分科会の「シナジー」とは、ある指標が良くなった時に別の指標も良くなることです。
逆に「トレードオフ」と言うのは、あることをするとどうしても別の側が悪くなってしまうことです。
それらの関係を見ながら複合した指標はできないかについて、検討しています。

―活動の成果について教えてください。
佐久間先生:日本で初めて、xSDG・ラボにより『SDGs 白書』が刊行されました。
(SDGs 白書2020-2021 コロナ禍の先の世界を拓くSX 戦略編者:SDGs 白書編集委員会 https://nextpublishing.jp/book/13200.html
先ほどお話した分科会からも色々な成果を出しています。
ここ1,2年は新型コロナウィルスの影響で参加できませんでしたが、国連が毎年やっている HLPF では、xSDG コンソーシアムに参加する企業や自治体の方と一緒に、公開イベントをニューヨークで実施していました。

―これから研究したいと思っていることはなんですか。
佐久間先生:現在活動中のテーマで言うと指標です。企業の場合は割と指標設定は色々な例があるんですけど、地方自治体の場合指標というのは難しいんです。企業と違い、地方自治体はやっている範囲が非常に広いので、普通の人にわかりやすいような細々してない指標を設定するのは相当大変です。地方自治体の取り組みの度合いにはものすごく幅があるため、少しでも役に立つような研究ができればいいなと考えています。

私たちと SDGs

―私たちが普段の生活で SDGs に貢献できることは何ですか。
佐久間先生:それ自体を考えることが SDGs の始まりなんです。自分たちで何ができるかとか、自分たちにとって何が大切かということをまず一生懸命考えて調べる。始め方は何でもいいんです。SDGsというのは面白くて、最後のゴールだけはあるのですが、やり方は全然書いていないので、どうやっても自由なんです。大事なことは試行錯誤を繰り返して、行動していくことです。

最後に

―この記事を見ている方々に一言お願いします。
佐久間先生:地方創生と言うのは極めて重要な取り組みです。色々なところに地域に根差したそれなりの発展の仕方がまだまだあるはずだと思っていますし、そういったものをしっかりと見つけていくということが地域のサステナブルに通じていくと思っていますので、ぜひそういう視点を大事に一人でも多くの方がSDGs に取り組まれるようになれば、より良い方向に進むのではないかと思います。

編集後記

最後までご愛読いただき、ありがとうございます。
今回はとても貴重なお話を聞かせていただくことができました。

SDGs に貢献することとは、壮大で、自分自身では何もできないだろうと思っていました。しかし、佐久間先生の“SDGs について考えることが始まり”という言葉を聞き、このように些細なことから SDGs 活動が始まっていくのだと知りました。私も身近なことから始めてみようと思います!

組織名

慶應義塾大学 SFC 研究所 xSDG・ラボ

HP

https://xsdg.jp/

所在地

〒225-0882
神奈川県藤沢市遠藤5322慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス

設立年

2017年10月

代表

蟹江憲史(慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授)

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