新しい「暮らし」の可能性を提案する会社―YADOKARI株式会社 代表取締役 さわだいっせい ―
堀江 夏実

こんにちは!学生ライターのナツです!
今回は、皆さんの第二の田舎・住まいをつくり、住まいの在り方に変化を与えYADOKARI株式会社 代表取締役 さわだ いっせいさんにお話しをお伺いしました。

―YADOKARI株式会社を始めるきっかけを教えてください―
さわださん:YADOKARI自体は3.11の震災がきっかけですね。沢山の人が津波で家まで流されていて、自分たちもいつこうなるかわからない、家を流された人たちはどうやって生きて行くのかと疑問に思いました。その時期には結婚してデザイナーとしてお金も稼げるようになっていたけど、プライベートの時間もほとんどなく、何のためにお金を稼いでいるのかがよくわからなくなった。(生きかたとして)お金をどれだけ稼いでも、幸せになれるかどうかは別問題だということに気づきました。
そこからぼんやりと、もっと暮らしにまつわる仕事がしたいと考えるようになりました。ある時、坂茂さんのつくった宮城県のコンテナを活用した仮設の集合住宅に興味を持って、仮設住宅なのに贅沢な印象で、快適で住みやすいとの声も上がっていて。コンテナの規格は移動するのに最適だし、家が移動すると暮らしが自由になっていいなと思うと同時に、日本の選択肢の少なさも感じました。そんな中、2012年から本格的に小さな家の情報を発信する活動を始めました。
 
―デザイナーをされていたそうなのですが、建築系のデザイナーさんだったのでしょうか。―
さわださん:いえ、建築系ではまったくなくて、WEBのデザイナーをやっていました。もう一人の共同代表(ウエスギさん)も同じ会社の同僚で、プランナーをやっていて知り合ったんです。

―なぜ建築系に興味を持たれたのですか―
家っていうのは人生の中で避けては通れないもので、暮らしの中にある身近で、でも大きな課題を解決したいと思ったからですかね。小さな家なら建築家でなくても作れるし、こんな家に住みたいと思う妄想は誰にでもあるので。それを実際やってみるちょっと変な人がいてもいいんじゃないのかなって(笑)
 
―今までの活動の中で一番心に残っている事業はなんですか―
さわださん:BETTARA STAND 日本橋っていうのがあって、もともと140平米程の車8台分の駐車場だったところに、僕らの強みである移動式(車輪付)トレーラーハウスを二棟置いて、飲食店プラスイベントスペースとして運営活用させていただきました。街の人と仲間と一緒に「コミュニティビルド」という手法でスペースをつくっていき、その中での旗振り役を「コミュニティービルダー」と名付け、イベントや運営を先導してもらいました。
それまでは共同代表と二人三脚でやって来たけど、初のリアル施設開業で、社員やアルバイトも10人ぐらい雇いましたね。地域の人ともできるだけ協力してものづくりしたり、イベントを開催したりしました。ただ周りが高級住宅地でもあり、何百年と続く老舗店舗もあり、新しい取り組みはなかなか受け入れてもらい辛いと感じました。屋外施設だったこともあり、騒音問題などで厳しい意見を頂いたこともありました。
協力的な部分もあれば、排他的な部分もあって、それも含めて色々な人が共存しているのが「町」だと思うんですけど、良いことも悪いこともそこで経験させてもらったことが印象的ですね。

 -BETTARA STAND 日本橋- 実際の店舗写真

―BETTARA STAND 日本橋は二年ほどやっておられたそうですが、―
さわださん:そうですね。二年ちょっとやっていましたね。暫定利用だったので次にビルが建つまでの間、移動式のタイニーハウスが都合が良いということで(候補の中から)選んでいただきました。
日本橋は東京の中心地に近くて、建築で店舗を立てるのは建築基準法や防火管理などをクリアせねばならずハードルが高い一方で、BETTARA STAND 日本橋のタイニーハウスは車輪がついて移動もでき、スペース内には建築物も工作物もなく、車が駐車場に二台停まっているという形をうまく活用しました。
 
―今一番力を入れている取り組みはなんですか―
さわださん:空き家ゲートウェイというサービスですね。この取り組みは自体は全国の100均物件のマッチングというのをテーマにしていて、オーナーさんから売りたい物件を100円か100万円で売り出してもらって、買い手に応募した人たちの熱意を考慮して売買されるサイトが今一番面白い取り組みですね。

空き家ゲートウェイ公式サイト 

1件の物件に対して4、500件の買い取り応募が来るので、それを直接オーナーさんに転送してやり取りしてもらって決まっていく形ですね。いまは全部成約済みとオーナー選考中ですね。ほんとにボロボロの家でも(買い取りたい人が)50件ぐらいきて。
 
―物件ではなく土地が欲しい方が買われることも多いんですか―
さわださん:それもあると思います。大体田舎の土地なので、土地が何百坪もあって、そこにタイニーハウスを建てる人とか、サウナや露天風呂を作る人たちもいますね。
 
―面白い取り組みですね―
さわださん:そうですね。いまダイソーさんとかセリアさんで空き家を売らせてもらえないか画策しているところです。100円ショップで空き家を売るのが夢なんですよね。(笑)
コンビニなどにあるギフト券みたいな形で物件情報を読み取って売れたら面白なと思って。
 
―現在、主に行っている事業はなんですか―
さわださん:1960年代や70年代のレトロカー・ビンテージカーのバンタイプを取得して、住居やキャンピングカー、オフィスカー、キッチンカー、サウナカーなどに改造してレンタル・販売しています。現在世界各国の車を10台程所有していますね。
私たちが主に推進しているタイニーハウスやトレーラーハウスのデメリットは、牽引費用が大きく掛かることなんですよね。100kmで片道2、30万とかで費用感が合わず、マーケットフィットしないことも多いので、自走できる車をかっこよく、空間も広く、機能的に使えるように改造して活用できるようにと始めました。
〈HPの写真をみて〉



1960年代や70年代レトロカー・ビンテージカーの改造後

(改造後は)左右に椅子があって、テーブルもあるので仕事もできます。乗車人数も9人と多く、机をとるとフラットになり、2人が泊まれるスペースが確保できますね。
 
―借りられる方はどのように使われますか―
さわださん:最近でも若い女性が一週間ほど借りられていましたね。用度は皆さんそれぞれですが、キャンプ場で止めて寝泊まりをしたり、海の近くでサーフィンのために使ったりと。移動式の別荘だと思ってくれればいいですね。
 
―地域活動でも利用されることはありますか―
さわださん:地方の村ともコラボさせてもらって、日本で最も美しい村連合という小さくても素晴らしい地域資源や美しい景観を持つ村のネットワークがあるんですけど、それに加盟している町村・地域が全国63箇所あって、その一部と連携させていただき、バンで周遊し、地域の観光PRをする活動もさせてもらっています。
 
―2022年冬の新しい事業について教えてください―
さわださん:相模鉄道さんの星川駅〜と天王町駅の間の約1.4km/約2万平米の高架下開発・活性化のプロデュースのご依頼をいただき、現在2年近くやり取りをさせてもらっていますね。
『「変化を楽しむ人」がつながる 生きかたを、遊ぶまち』をコンセプトに、クリエイティブな人材が集いまちを成長させる拠点として歩行者空間や広場、商業施設の計画を進めています。
変化の中で一歩を踏み出し「新たな自分」に出会い、これからの時代を自分らしく豊かに生き抜くエネルギーを得られるよう、人生の余白と可能性を「遊び」と捉え、「学び」「消費」「働き方」「コミュニケーション」など好奇心を刺激し「遊び」を触発させる仕掛けを散りばめています。
国籍、性別、年齢にとらわれず多様な人々が交わり、どのような時代においても進化しエネルギーが満ち続ける持続的な高架下開発とまちづくりができたらいいなと。
 
―YADOKARIの今後についてお願いします―
これまで、YADOKARIでは、「時間、場所、お金に囚われない暮らし方」を提唱してきました。10年近く掲げていますが、コロナの影響もありリモートワークも進み、時間や場所に制約がなくなってきた、時代が追いついてきた感覚があります。
ただ、お金からはまだほとんどの人が解放されていないですよね。次はそのチャレンジをしたいと思っていて、YADOKARI Mission 2030として「リビングコストゼロを実現し、人類の幸福度を向上させる」をテーマに、「ゼロハウス構想」というものを進めたいと思っています。
ライフコストの中を大きく占めるリビングコストを限りなく少なくできれば、もっとクリエイティブなこと、創造性と対峙することができるのではないかと仮説を立てています。
既に、東急さんやUR都市機構さんと連携して、住居を無償で提供していただく代わりにまちづくりにコミットする「コミュニティービルダー」を派遣するというプロジェクトを始めています。一般から募集するのですが、毎回スキルの高い人からの応募が100件超等、かなりの反響をいただいています。
また、最新の技術、例えば宇宙素材の断熱材などを使ったテント以上、住宅未満の家の開発にも着手したいと思っています。
そのように暮らしのソフトとハード面からリビングコストゼロを実現していければと考えています。
 
―地域創生に取り組もうとする若者に一言をお願いします―
現在コロナショックもあり、都市に住むより、田舎に住んで、ものづくりをする方がかっこいい考え方に変化してきているように感じます。様々な場所を旅しながら自分に合う地域を見つけて、自分の帰りたい田舎や友達を増やしていくといいんじゃないかなと思います。

企業名

YADOKARI株式会社

所在地

〒231-0066 神奈川県横浜市中区日ノ出町2-166先 Tinys Yokohama Hinodecho

創業年月日

2013年11月1日

従業員数

16名

代表者

代表取締役 CEO / Co-Founder さわだいっせい
代表取締役 COO / Co-Founder ウエスギセイタ

事業内容

新空間プラットフォーム事業
タイニーハウス販売・リース
メディア・プロモーション
まちづくり・エリアリノベーション

WEBサイト

COMPANY PROFILE|YADOKARI株式会社(ヤドカリ)コーポレートサイト|世界を変える、暮らしを創る。
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