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こんにちは!ライターの中宮桃果です!
皆さんは、「たたら」と聞いてどのようなものか、パッと思い浮かびますか?
スタジオジブリ作品「もののけ姫」にも、エボシ御前らが山を切り拓き、砂鉄から鉄を作り出す製鉄所として「たたら場」が登場しています。
今回は意外と深く知らない、「たたら」の発祥地である島根県奥出雲地方の歴史に迫ります!
「たたら」って何?
「たたら製鉄」とは、日本の伝統的な製鉄方法で、なんと1400年前から受け継がれてきた文化です。土で固めた炉の中で、山や川、海から採れる砂鉄を、木炭を使って燃焼させることにより鉄を作り出します🔥
「たたら」は古くから、「蹈鞴」「鑪」と記されました。
「蹈鞴」は、「鞴(ふいご)を蹈(踏)む」と書くように、製鉄炉に風を送り火力を上げる装置である「鞴」そのものを指し、「鑪」は製鉄場全体を指していたそうです。
ところで、皆さんの住む地域には「たたら」という地名はありますか?
栃木県市貝町の多田羅、山口県防府市および福岡市東区の多々良、京都府京田辺市の多々羅、兵庫県南あわじ市の鈩、長野県長野市の鑪など、表記は違いますが、実は「たたら」という地名は日本全国に見られます。
日本各地に存在する「たたら」という地に共通するのは、製鉄や鍛冶が営まれていたという点です👀
日本全国に「たたら」という地名が見られるように、長年日本の製鉄業を支えてきたのは「たたら製鉄」でした。
そして、この「たたら製鉄」発祥の地が、島根県東部の「奥出雲地方」です。
続いては、奥出雲のたたらについて詳しく見ていきましょう!
奥出雲で生まれ、育まれた「たたら製鉄」
奈良時代に編纂された地方誌『出雲国風土記』にはこのような一節があります。
「諸郷より出すところの鐵堅くして、尤も雜の具をつくるに堪ふ」
現代語訳:この地で生産される鉄は堅く、いろいろな道具をつくるのに最適である
これは、奥出雲で生産される鉄の質の高さを表現しています。
この地域は、たたら製鉄に欠かせない砂鉄を多く含む花崗岩が広く分布しており、広大な森林もあったため、多くの技術者が集まってきたそうです。
この砂鉄から作られる「和鉄(鉧鉄・玉鋼など)」を加工することで、様々な鉄製品が作られます。
では、時代ごとにどのような製品が作られたのでしょうか。
奈良〜室町時代
この時代には、和鉄は主に農具や生活用具などに加工されていました。
先ほども述べた通り、『出雲国風土記』にも、質の高さを評価する文章が登場しています。
江戸時代
江戸時代には設備や組織が整備され、より鉄の生産が盛んになりました。
需要が増すにつれて、「天秤鞴(てんびんふいご)」という、シーソー型の板を片足で踏む新しい設備も生み出され、生産性も大幅にアップしました。
また、鉄砲の一大生産地であった滋賀県長浜市国友町では、「出雲の鉄は最良」と伝えられています。当時新しい技術が必要だった鉄砲の「ねじ」を作るため、柔らかく不純物の少ない出雲の鉄が使われていたのです。
こうして生産された鉄は、海運・水運・人馬など、様々な手法で日本各地へ届けられ、安木節で有名な安木(やすぎ)港は大いに発展しました。
また、この時代には「たたら御三家」と呼ばれる有力な鉄師家も生まれました。田部(たなべ)家、櫻井家、絲原(いとはら)家です。
それぞれ、田部家は雲南市吉田町、櫻井家は奥出雲町上阿井(かみあい)、絲原家は奥出雲町大谷において、鉄師たちを率いて製鉄業を主導しました。
彼らの功績もあり、奥出雲のたたらが発展していったのですね。
明治〜大正時代
近代化の時代において、西洋から新しい製鉄技術が次々と導入されていきました。
八幡製鉄所や釜石製鉄所などの、洋式高炉の製鉄所が建設されたことで、たたら製鉄は衰退の危機に瀕すことになります。
このような西洋式の製鉄所が普及したことで、たたら製鉄は、大正時代末にほぼ廃絶に至りました。
現在に受け継がれる「たたら」の思い
近代化を境に姿を消してしまった「たたら製鉄」。
しかし、1000年以上続いた伝統を復活させようという動きが起こります。
戦前、奥出雲町で「日本刀鍛錬会」のもと「靖国たたら」として、たたら製鉄は復活を遂げますが、戦後には再び廃業してしまいます。
その後同協会は、昭和51年6月24日、「靖国たたら」を「日刀保たたら」として復元させ、現在では世界で唯一、たたらの炎が燃え盛る地となったのです。
日本刀の材料である「玉鋼」は、この「日刀保たたら」で生産され、全国の刀匠の元へ送られています。
また、たたらで使用される砂鉄は、人力で山を切り崩し、切り崩した土砂を水路に流し込む「鉄穴流し(かんなながし)」という方法で採取されました。
鉄穴流しの跡地は、先人たちの努力により棚田として再生され、ブランド米「仁多米(にたまい)」の産地として残されています。
燃料の木炭を生産する山林も、計画的な伐採と植林を繰り返すことにより保全されてきました。
このような、出雲の人々の「たたら」への熱い思いにより、「出雲國たたら風土記~鉄づくり千年が生んだ物語〜」として日本遺産に登録されています。
たたらは、人と自然が共生し、文化を生み出す場所だったのです。
たたらの歴史を学び、体験しに島根へ!
ここまで読んでくださった皆さんは、きっと、今に残るたたらを自分の目で見てみたいと思っていただけたのではないでしょうか!
島根県でたたらの歴史を学び、見学・体験できる施設を3箇所紹介するので、ぜひ参考にしてください🌳
①和鋼博物館
和鋼博物館は、島根県安来市に位置する、たたら製鉄と現代の特殊鋼産業を紹介する博物館です✨
常設の展示に加え、企画展や公開講座も多数行われています。
たたら製鉄について、その仕組みや歴史、「鉄の町・安来」ならではの情報を細かく学びたいなら和鋼博物館へ!
【施設情報】
住所:〒692-0011島根県安来市安来町1058番地
電話: 0854-23-2500
営業時間:9:00から17:00まで(最終入館:16時30分)
定休日:水曜日(祝日の場合は翌平日)、12月29日から1月3日(※2026年4月1日より施設改修のため休館)
URL:https://wako-museum.jp/
②鉄の歴史博物館
鉄の歴史博物館は、島根県雲南市吉田町にある施設で、吉田町は、かつてたたら製鉄が行われていた場所の一つでもあります。
吉田町のたたらを支えていたのは御三家の一つ「田部家」。
彼らが残した文書などから、たたら経営にどのような人が関わっていたのか、鉄をどのように生活用具に変えていたのかなどを学ぶことができます!
【施設情報】
住所:島根県雲南市吉田町吉田2533
電話:0854-74-0043
営業時間:9:00~17:00(入館は16:00まで)
定休日:月曜日 (祝日の場合は翌日) 、年末年始(12/29~1/3)
URL:http://www.tetsunorekishimura.or.jp/history
③奥出雲たたらと刀剣館
奥出雲たたらと刀剣館は、たたら製鉄が今もなお継承される「奥出雲町」ならではの体験ができる施設です!
その内容は、たたらと刀剣館での「日本刀鍛錬見学」と川島忠善刃物製作所での「包丁作り体験」です🔥
なんと、複雑かつ巨大なたたらを間近で見ることができるのです!
他にも、鞴を踏む体験や、地元の刀匠による刀や日本刀の解説も聞くことができます。
たたらの炎を見て、体験して、貴重な時間を過ごせること間違いなしです!
【施設情報】
住所:島根県仁多郡奥出雲町横田1380-1
電話:0854-52-2770
営業時間:9:30~17:00(最終入館16:30)
定休日:火曜、12月28日~1月4日
※日本刀鍛錬実演日(定期開催):第2日曜、第4土曜 10:00~、13:00~
URL:https://okuizumo.org/jp/guide/detail/208/
おわりに
いかがでしたか?
「もののけ姫」には、森の木々を伐採し砂鉄を採りつくすことで、サンと森の動物たちが怒りを顕にするという描写が登場します。
「たたら製鉄」で欠かせないのは、今も昔も木や砂鉄、水といった「自然の恵み」です。
奥出雲の人々は自然と向き合いながら、発展していく社会に合わせて、製鉄の技術を継承してきたのです。
今も「たたら」が残る奥出雲では、砂鉄を燃やす炎に職人さんたちの熱い思いが重なります。
参照
今尾恵介「第64回 鉄とタタラにちなむ地名」『土地家屋調査士』第726号、日本土地家屋調査士会連合会、2017年。
https://www.chosashi.or.jp/media/201707kaiho.pdf
奥出雲たたらブランド
https://tatara-iron-making-okuizumo.jp
「たたら」の発祥と発展-「たたら」とは|鉄の道文化圏
https://tetsunomichi.gr.jp/history-and-tradition/tatara-outline/part-1/
【日本遺産ポータルサイト】出雲國たたら風土記-文化庁
https://japan-heritage.bunka.go.jp/ja/stories/story034/
和鋼博物館
https://wako-museum.jp
鉄の歴史博物館|雲南市観光協会|うんなん旅ネット
https://www.unnan-kankou.jp/trip/tetsunorekishi/
日本刀鍛錬見学&マイ包丁作り!奥出雲町でたたら製鉄の歴史を体験|島根観光ナビ
https://www.kankou-shimane.com/pickup/59913.html
奥出雲たたらと刀剣館|観光ガイド|奥出雲町公式観光ガイド
https://okuizumo.org/jp/guide/detail/208/
日本刀の材料「玉鋼」を作る たたら製鉄で栄えた出雲へ⑴ 【日本刀に導かれ】~「たたら製鉄」とは~|たびよみ
https://tabiyomi.yomiuri-ryokou.co.jp/article/002535.html
たたら操業と日刀保たたら|公益財団法人 日本美術刀剣保存協会
https://www.touken.or.jp/museum/sword/tatara.html
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