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みなさんこんにちは!散歩が趣味のライターの中宮桃果です。
普段何気なく歩いている時にも、ふと足を止めて耳を澄ますと聞こえる「音」。
日本にはたくさんの風情を感じる音がありますよね。
その中でも特に私のお気に入りは、「水琴窟(すいきんくつ)」の音です✨
あまり聞き馴染みがないかもしれませんが、一体どんな音が聞けるのでしょうか。
今回は、水琴窟について、特に岐阜県美濃市にある旧今井家住宅の水琴窟にフォーカスしてご紹介します!
水琴窟って何?
水琴窟とは、一体どんなものなのでしょうか?
水を使って演奏する琴のような楽器?琴のような音が聞こえる洞窟?
漢字を見ただけでははっきりとはわかりませんが、水琴窟とは、日本庭園に見られる伝統的な装飾・仕掛けの一つです。
江戸時代の庭師によって考案されたとされますが、はっきりとした起源はわかっていません。
水琴窟の音が鳴る部分は、手水鉢(ちょうずばち)や蹲踞(つくばい)の手前部分に掘られた地中に隠れています。
手水鉢や蹲踞とは、庭園などに見られる「水を溜めておく石造の鉢」のことで、竹で作られた鹿おどしとともに、庭園や茶室などでよく見られます。🎋
その手前の地中部分には大きな瓶(カメ)が入れ込まれ、手水鉢から溢れた水がぽたぽたと滴り落ちる音がカメの中で反響し、美しい音が生み出されているのです🎶
耳を近づけてみると、「キーン」「コーン」というような、透明感のある澄んだ音が聞こえます。わびさびを感じる、静かで上品な音が特徴です🍃
私自身この音が大好きで、時折聴きに行きます。
旧今井家住宅の他に、京都の圓光寺や寶泉院、鎌倉の浄妙寺喜泉庵などが、水琴窟で有名です✨
旧今井家住宅・美濃史料館とは
旧今井家住宅とは、庄屋兼和紙問屋として栄えた今井家の住まいであり、江戸時代中期に建てられました。明治初期に増築もされ、市内でも最大級の規模を誇ります。
美濃市一帯では「美濃和紙」と呼ばれる和紙の生産が盛んで、なんと1300年もの長い歴史を誇ります。江戸時代から多くの豪商が住む商家町でした。
このエリアには名前がついており、「うだつの上がる町並み」と呼ばれています。
「うだつ」とは、屋根の両端に作られた防火壁のこと。江戸時代、火事が起きた際に類焼を防ぐために作られました。
しかし江戸時代中期からは、豪商たちが富の誇示のため、競い合うように凝った「うだつ」を設けていきました。そのため、見上げると様々な絵柄、模様を持った「うだつ」が楽しめるのが特徴です。
今でも「うだつが上がらない」という言葉がありますが、これは「出世できない」などの意味がありますよね。「うだつ」を設置するには多額の費用がかかるため、裕福な家にしか見られなかったのです。
また、「うだつ」の他にも、多彩な格子、むしこ窓と呼ばれる町屋の厨子二階(低い2階)部分に設置された格子状の小窓、箱型の火防神など、独特な意匠を多くみることができます。
そんな「うだつの上がる町並み」は、平成11年に「国選定美濃市美濃町重要伝統的建造物群保存地区」の指定を受けています✨
現在は「美濃史料館」としても、美濃市の歴史に関する資料を展示したり、うだつについて学べる「うだつ蔵」を設置したりして、文化保全に貢献しています。
旧今井家住宅の水琴窟の特徴は?
旧今井家住宅という立派な家の中庭にある水琴窟ですが、どのような特徴があるのでしょうか。ここからは人気の秘密に迫っていきます!
①「日本の音風景100選」に選出
旧今井家住宅の水琴窟の特徴その1は、「日本の音風景100選」に選出されています!
これは、「地域のシンボルとして大切にし、将来も残していきたいと願っている音の聞こえる環境(音風景)」として公募されたものの中から、日本音風景検討会によって選ばれました。
美濃の人々が昔からこの水琴窟の音で風情を感じ、大事に守ってきたのがわかりますね。
また、旧今井家住宅の水琴窟は、通常のものよりも少し大きく復元されているため、音の響きも豊かで大きいのが特徴です✨
自分で柄杓から直接カメの上に水をかけ、音を生み出すことができるという珍しい体験もできるため、訪れた際には是非とも試してみたいものです。
「日本の音風景100選」については、詳しく書かれた記事があるのでこちらもぜひお読みください🎶
【日本の音風景100選】耳で聴いて、目で見て楽しむ美しい日本の「音」
https://madeinlocal.jp/category/100collection/005
②ガイドボランティアによる解説付き!
旧今井家住宅にはボランティアガイドの方が常駐しています。
そのため、水琴窟を見たことがない人も安心!水琴窟の仕組みから、旧今井家住宅のつくり、美濃和紙産業の歴史など、じっくり解説していただけます✨
館長さんによる解説が聞ける日もあるんだとか!
歴史に興味がある方はもちろん、初めてで不安な方も、身構えずに文化を楽しめるのがありがたいポイントですね。
③歴史ある屋敷の中で聴く音
旧今井家住宅は、かつて和紙問屋として栄えたことから、お屋敷の中には至る所に贅の極みをつくした工芸品が配されるとともに、美濃和紙への誇りを感じます。
帳場や蔵など、当時の仕事の一端が見える場所や、約3mの明かり取りや美しく手入れされた中庭から、繁栄ぶりや当時の情趣が伺えますね。
そんな歴史ある民家で趣を感じながら聴ける水琴窟は別格です✨
☘️旧今井家住宅・美濃史料館
【所在】〒501-3729 岐阜県美濃市泉町1883
【営業時間】4月~9月 9:00~16:30(最終入館16:15)、10月~3月 9:00~16:00(最終入館15:45)
【休業日】12月~2月の火曜日(火曜日が祝日の場合は翌日)、祝日の翌日、年末年始
【料金】大人(高校生以上):300円、団体(20名以上):250円
【電話】0575-33-0021
【アクセス】長良川鉄道「美濃市駅」から徒歩約15分/岐阜バス岐阜美濃線「うだつの町並み通り」下車徒歩1分/東海北陸自動車道「美濃IC」から約5分。
【駐車場】普通車20台あり
おわりに
いかがでしたか?
旧今井家住宅の落ち着いた雰囲気とともに、静かな中庭で水琴窟の音に耳をすませば、きっと心が軽くなるはずです!
旧今井家住宅の水琴窟は、歴史の中で育まれた美濃の大切な文化と、旧今井家の繁栄ぶりを後世に伝えながら、当時と変わらない美しい情緒あふれる音を私たちに届けてくれているのですね🎶
ぜひ美濃で、水琴窟の音色と文化に浸ってみてください!
最後まで読んでいただきありがとうございました!
参考
日本水琴窟フォーラム 水琴窟とは
http://www.suikinkutsu.com/suitoha.htm
旧今井家住宅・美濃資料館(市指定文化財)|観る/巡る|美濃市観光協会
https://minokanko.com/seeing/category/history-culture/p5974/
うだつの上がる町並み|観る/巡る|美濃市観光協会
https://minokanko.com/seeing/category/history-culture/p5973/
今井家住宅(美濃市)
https://www.gifureki.com/mino/imai.html
旧今井家住宅・美濃資料館|観光スポット|岐阜県観光公式サイト「岐阜の旅ガイド」
https://www.kankou-gifu.jp/spot/detail_3184.html
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