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本記事は「Made In Local」の発起人である株式会社IOBI代表取締役の石井智大と「地域を代表する企業100選」選出企業様の対談企画です。

今回は「岡山を代表する企業100選」選出企業の株式会社メルヘン・プラザ(岡山県真庭郡)より、代表取締役の本田陽哉(ほんだ・はるや)氏にお話を伺いました。

道の駅「がいせん桜新庄宿」の運営を軸に新庄村産の餅米ヒメノモチの食品サービスを展開し、食と文化そして人の交流を育む株式会社メルヘン・プラザ様の想いと目指す未来をぜひご覧ください!

株式会社メルヘン・プラザ【岡山を代表する企業100選】
https://madeinlocal.jp/category/companies/okayama025

株式会社IOBI石井智大(以下、石井):本日はよろしくお願いします!

株式会社メルヘン・プラザ本田陽哉氏(以下、本田):よろしくお願いします!

60歳を過ぎて迎えた大きな転機


石井:ありがとうございます!今回、こちらのパーカーを頂戴したのですが、パーカーに込められた想いについてお聞かせいただいてもよろしいでしょうか?


本田:まず、パーカーにあしらわれているおもちのキャラクターは、新庄生まれ新庄育ちのおもちの8人兄弟「MOCHI-HACHI(もちはち)」という新庄村の特産品であるもち米、「ヒメノモチ」のキャラクターです。

道の駅のキャラクターを作りたいなと思っていて、新庄村の特産品でもあるもち米を搗いて作ったお餅が焼かれて膨れる様子をもとに、縁起の良い8人兄弟の餅にしました。

石井:ありがとうございます!ご出身の新庄村の道の駅運営を託されるまでに、さまざまな経験をされてきたかと思いますが、幼少期の頃はどのように過ごされていたのでしょうか?

本田:幼少期はスポーツが好きでした。特に新庄村は雪がよく降る地域なので、冬でもできる競技に挑戦したいと思い、剣道を小学4年生くらいから中学校3年生くらいまでずっとやっていました。

中学校を卒業するまで続けていたので、真庭郡のなかではちょっと有名になっていましたね。

石井:そうなんですか。素晴らしいですね!

本田:ちょっとだけですよ。常に体を動かしたくて、とにかく剣道に一生懸命打ち込んでいました。

あとは動物が好きで、ホルスタイン牛を20頭ほど飼っているご近所さんのもとに放課後の剣道の練習が終わってから手伝いに行っていました。

それを手伝っているうちに酪農に興味を持って、高校は酪農を学べるところに進学して、卒業後は岡山県内のオハヨー乳業株式会社という乳業会社に就職しました。

当時は工場勤務で岡山県から出ることもあまりないのだろうなと思っていたのですが、営業の役員の方が偶然私のことを見てくださっていて「君は営業に来なさい」と声をかけてくださったことで営業職に抜擢されました。

それからはもうずっとリタイアするまで営業職1本です。

石井:思わぬ抜擢ですね!そこからはどのような仕事をされていたのでしょうか?

本田:とにかく全国を駆け抜けて新規顧客を獲得していましたね。

ちょうど30歳の時に東日本工場の建設に向けて東京に赴任した時は、会社も全国レベルの規模に成長しようという時期だったので、こうした大きな仕事を任せていただけたことは今でもすごく感謝しています。毎日楽しかったですね。

石井:まさに天職ですね。そこからどのようにして現在の事業を立ち上げたのでしょうか?

本田:役員として勤務していた57歳の時に、出身地の新庄村にある道の駅のリニューアルを民間経営の経験者に手伝って欲しいというお声がかかったことがきっかけです。

久しぶりに見た故郷の道の駅はどうにもならない状況で、何とかして立て直そうと62歳のリタイアを機に、今の仕事をスタートしました。

道の駅らしくないオンリーワンの道の駅ができるまで


石井:ある意味、今までのキャリアを捨ててのスタートだったのですね。

本田:そうですね。2016年からの最初の4年間は統括マネージャーとして活動して、1年半かけて経営を回復させていきました。

道の駅は元々村長が代表取締役をしていましたが、第3セクターというポジションであったため責任の所在が明確ではなく、クレームがあったとしても議会を通して予算と相談しないといけない分、改善までに時間がかかってしまうことが課題でした。

そこで2018年の道の駅のリニューアルを経て、私が2020年に代表取締役に就任したタイミングで“事業運営から企業経営へ”をテーマに、個人主義からお客様第一主義に転換しました。以降は黒字経営で売り上げも3〜4倍に伸ばすことができています。

石井:実際に事業運営から企業経営に変えるとなると難しい場面も多かったと思いますが、どのようにして進められたのでしょうか?

本田:逆境でも理念を貫き続けることですね。民間企業の役員としてずっと会社を見てきた自分が呼ばれた理由、それから地元の道の駅の課題を解決するために戻ってきたのだと確固たる理念をもって活動していました。

今までの道の駅は商品開発や販路開拓をしない受身の姿勢だったため、これを変えることができれば、上手くいくはずだと確固たる自信がありましたね。

道の駅「がいせん桜新庄宿」発起人に聞くマインドセット


石井:根本から大きく経営スタンスを変えての大躍進でしたが、具体的に何がきっかけで売り上げが大きく上がったのでしょうか?

本田:やはりお客様第一主義に発想を切り替えて、自ら外に出て商品を売るための商談を増やしたことです。

勤めている人間ではなくお客様が第一のため、今までは売り上げの良し悪しに関係なく給料がもらえていた方々にも、固定観念を払拭してお客様が何を求めているかを徹底して考えないといけないということを伝え続けてきました。

例えば、これまではトイレが狭いと感じても、設計上の問題だから仕方ないという理由で片付けてしまっていましたが、ベビーカーでいらっしゃったお客様にとってこのトイレは使いやすいと感じられるだろうかといったように、小さなことでもお客様視点に立つ風土を浸透させてきたことで、環境は大きく変わったと思います。

石井:当初は外からの意見を受け入れられるような体制ではなかったと思いますが、どのようにして対人関係を構築してきたのでしょうか。

本田:私が来るまでは、継続的にコンタクトを取ることが難しいことから営業活動は全く機能していなかったので、前職時代のお得意先にもご協力いただきました。

ですが、元々在籍していた従業員からは抵抗も多かったですがね。

石井:驚きました。そうなのですか?

本田:売り上げが上がると、今度は自分たちの作業が増えてしんどくなりますからね。

特に、夏場の製造ラインがストップしていたお餅については、通年で売り上げを得られるよう冬場だけのものという固定観念を捨てて、年中置いてもらえるよう各店舗に商談していったので、「なにやら、東京から面倒くさい人が戻って来たぞ」と余所者扱いでした。

それでも続けてきたことで4名しかいなかった社員が今や16名、パートさんを合わせると40名弱と、当時からは考えられない人数に増えたため、実績が上がるにつれて社内に考え方も浸透していきました。

石井:前職で多くの拠点をマネジメントされてきた経験はもちろん、周りを巻き込む力があるのでしょうね。

社員の待遇面でアプローチを変えた点はありますか?

本田:待遇よりはマインドセットを大事にしており、お客様が満足してくれるかどうかを基準に考えて行動する大切さを言葉で伝え続けることで、従業員の意識も商品の品質も少しずつ良くなると考えています。

2018年の道の駅の全面リニューアルも、お客様に喜んでもらうために行ったことの1つです。内壁はお餅のように白く塗って、外観は餅をつく臼に見立てて、木の質感が感じられる道の駅らしくない道の駅に仕上げました。

こうした甲斐もあって今では、株式会社メルヘン・プラザは地域のオンリーワン企業になることができたと思います。

石井:確かに、リニューアルオープン時のお写真を見ても、すごく綺麗でワクワクする外観ですね!実際はどのような施設なのでしょうか?

本田:道の駅といえば新鮮な野菜や果物など売っているものは大体どこも似たり寄ったりですが、道の駅にはないものを作りたくて、テイクアウトコーナーにピザを焼ける場所を設けたりもしています。

施設を白基調にしたことで、汚れが目立つため掃除も今まで以上に行き届くようになり、トイレも「新庄の道の駅が岡山県内の道の駅では一番綺麗だよ」と言ってくださる方も多いです。

トイレの改修には結構お金がかかりましたが、お客様からこうして反応をいただけると改めてやって良かったなと思いますね。

石井:一貫した理念のもとに今の道の駅があるのですね。社長自身の今後の目標はありますか?

本田:やはり、今積み上げてきた技術を今度は再現性をもって、より多くの人に繋げていくことですね。

食品関係のなかでもお餅がグランプリなどで取り上げられることはあまりないのですが、新庄村のもち米「ヒメノモチ」だけを使った真っ白なお餅はコシがあって、水を使わなくても粘り気がある美味しさと、新庄村の中で一貫した流通体制が構築されている点が大きく評価されました。

もち米をムシが捕食すると黒や黄色の点になって変色してしまうのですが、弊社ではこれを1つひとつ丁寧に間引いているため他のお餅よりも真っ白に仕上げることができています。

お餅1つとっても細かいところまでこだわり抜く技術は、次の世代にも継承していきたい要素ですね。

石井:ありがとうございます。なかなか奥が深いですね。

新庄村のこれから


石井:今の道の駅の様子を見ても当時の社長の判断は間違いなく英断だったと思いますが、これまでの改革が成功の確信に変わった瞬間はありましたか?

本田:やっぱりリニューアルしてすぐは半信半疑でしたが、売り上げもかなり上がって利益も出るようになった2019年あたりは自分にとっては確信に変わった瞬間だと思います。

そこからすぐに新型コロナウイルスの流行が始まりましたが、県内の各スーパーチェーンさんに大変協力していただいたことと、オンラインショップをリリースするなど工夫してきたことで、この局面を赤字にならずに乗り越えることができた経験はすごく大きいです。

石井:ただ道の駅を運営しているだけの会社ではなく、地元で作っているものに新しい価値をつけて外に発信したり、村内巡回バスを運行したりと本当の意味での地域商社という感じですよね。

本田:この地域の水や空気が澄んでいて綺麗なことも、住んでいる方にとっては当たり前に思えてしまうので、この地域の魅力を他にはない要素だと改めて気づかせてくれる、あるいは課題を提示してくれる問題解決意識をもった若い方々のおかげで日々新しいチャレンジができています。

さらに、2年前に広報担当を設けて、日々情報を発信し続けています。情報の発信が大事だと痛感します。

私も前職時代に問題解決研修を徹底して受けましたが、それが未だに生きているような感じがしますね。やっぱり問題意識を常に持たないと、前に進まないですから。

石井:確かにそうですね。

社長もご出身は新庄村ですが、他の地域でもお仕事をずっとされてきたこともあって、村の人からすると視点が新しい方なのだと思います。やはりそういう人が地域を変えていきますからね。

本田:それでいうと今後は故郷がだんだん疲弊していって、人口が減っていくのを何とかするためにも子供たちが帰ってくる環境を作っておかないといけないなと考えています。

村における雇用機会の提供については弊社でも特に推進していて、2025年の8月末に新庄村産のもち米の9割を購入して加工する第3加工場を国の交付金で建設していただきました

人口700人クラスの村が全てを賄っているということをやっぱり国も評価して、推奨してくれたのだと思います。

従業員もほとんどが村の人なので、実質村の5%くらいの雇用を生み出していますね。

こうした活動を続けていると、見てくれている人も増えるのでやりがいも感じますし、岡山県内や東京からも大学の関係者が来るので良いプレッシャーになります。

石井:そうですね。本当に面白い事例ですし、地域活性化の研究をしたいという学生からすれば、本当に良いモデルになりますよね。

本田:ありがとうございます。

村で賄っている以上、高齢者のパートさんが多く在籍しているのですが、皆何が楽しいかと聞くと「年を取っても孫やひ孫に小遣いをあげるためにと打ち込める仕事があること」と答えてくれます。ありがたいことです。

なので、今は設計事務所にお願いして第3加工場にエレベーターの設置を検討しています。お金はかかりますがやっぱり働く環境には替えられないので。大変ですが、前途は決して多難ではなくて、とにかく楽しいです。

石井:お話ししていてもすごく楽しそうなのが伝わってきます。

本田:やっぱり喜んでくれてる姿が見えるんで楽しいですよ。

自分たちの村や作っているものという地域への誇りが持てると思いますし、いくつになっても将来の希望が持てる環境が地域を良くしていくと思うので、私自身もずっと地域には携わり続けたいなと考えています。

最終的には皆さんに「新庄村はお餅の村だな」と言ってもらえたらありがたいですね。

地域の総合商社としてあり続けるために


石井:地域の総合商社の現段階の構想について、特別にお聞かせいただくことは可能でしょうか?

本田:もちろんです。

現在、新庄村で活動しているヒメノモチ加工品の製造・販売と道の駅運営を行う私たち株式会社メルヘン・プラザと、村の特産品であるヒメノモチの生産基盤を守る一般社団法人新庄村農業公社、そして一般社団法人むらづくり新庄村の3社が一体となって、ヒメノモチの生産から加工までの間の閑散期も皆が働ける場所を作っていきたいと考えています。

あとは現在、新庄村にある古民家を改修した旅館は一般社団法人むらづくり新庄村が経営しているので、商品だけでなく観光もどんどん一緒にやっていきたいです。

石井:それは盛り上がりそうですね!4月だったら「がいせん桜まつり」もあるので行きたいですね!

本田:ぜひお越しください。樹齢100年を超える桜の並木道が500mくらい続いている景色は本当に綺麗ですよ。

石井:良いですね!その際は、IOBIの皆も連れていきます。

最後に、本田社長の思う新庄村の魅力について教えてください!

本田:新庄村の魅力は食べ物が美味しいことはもちろん、どの地域でも四季を感じにくくなってきたなかで、はっきりとした四季があるところです。

岡山県には村が新庄村と西粟倉村の2つしか残っておらず、一度も合併せずに150年以上前から変わらない地域は実は新庄村だけなんです。

だからこそ、これからもこの村の風景や人々の想いが残り続けて欲しいですし、そのために企業として利益を出しながら、雇用の機会もどんどん作っていきたいですね。

石井:全国的にもモデルになるような町づくりの事例をありがとうございます!

今後も新庄村の発展をIOBIもお手伝いさせていただきたいです!とても良いお話をありがとうございました!

【会社概要/株式会社メルヘン・プラザ】
所在地:〒717-0201 岡山県真庭郡新庄村2190-1
代表者:本田 陽哉
設立:1992年3月
URL:https://www.meruhen-plaza.jp/

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