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東海地方の

輝かしい創生を願って

地方創生アンバサダー
岐阜大学工学部 客員教授
加藤 義人

岐阜大学客員教授。名古屋都市センター特任アドバイザー。 岐阜市出身(名古屋市在住)。東京理科大学理工学部土木工学専攻科修士課程修了後、㈱野村総合研究所に入社。㈱東海総合研究所(現、三菱UFJリサーチ&コンサルティング㈱)に移籍後、名古屋を拠点にシンクタンク活動に従事。主席研究員、執行役員を経て退任。現在は、地域づくりのアドバイザー等として幅広く関与。テレビ番組のコメンテーターとしても活動を広げている。専門分野は社会資本整備等の経済効果分析、公共経営(PPP/PFI、行財政改革)を中心に地域づくり全般。

加藤義人の東海創生コラムはこちら

Q1:地方創生やSDGsに関心を持ったきっかけ

私はシンクタンクでの地域分析を約30年間重ねてきたことから地方創生に興味を持ち、リニア開業後の日本と地方のあるべき姿を追求しながら東海地域の発展をお手伝いすることを自分のライフワークにしようと考えました。

 また、SDGs(持続可能な開発目標)の17のゴールが国連で掲げられる以前からESD(持続可能な開発のための教育)が提唱されており、環境や限られたエネルギーを大切にするための教育普及活動は2000年台初頭から世界中で積極的に行われてきたことを知っていました。私が携わっている「社会資本政策」領域の人々は移動手段に困っている方を助けたり、災害の対策を行うことで人々の安全な生活を守ったりと、世の中にあふれる不便さを解消することで日本を活性化させるために仕事をしております。しかし、社会インフラを開発する際には森林伐採や海の埋め立てなどで環境に悪影響を与えてしまうことも事実です。そこで、環境破壊に対する償いの気持ちを込め、かつ環境保全活動の推進を手助けするために、SDGsの存在意義や必要性についての記事を「東海創生コラム」で発信する活動を続けております。

シンポジウムでは講演の他、コーディネーター役も多い

Q2:過去と現在の研究内容について

東京理科大学では修士課程終了まで「土木計画学」を学んでおりました。その後、社会的な問題に関する調査や分析に基づき結果を公表し、政策に対する提言を行う研究機関であるシンクタンクでキャリアをスタートさせました。そこでは道路・港湾・空港・駅などの社会資本を作る際に社会にどのような影響が起きるかを分析・予測する「社会資本政策」という領域に携わってまいりました。2000年を超えたあたりからはリニア中央新幹線の開業がもたらす効果分析を数多く担当し、国土や沿線の地域がどうあるべきかついても考えるようになりました。業務を通じて自治体や国の機関地方局、民間企業など東海エリアのさまざまなクライアントと関係を築くことができたため、この地域の皆様のご相談に応じてお手伝いすることが私にいちばん適していると判断し、2019年にシンクタンクを退職して個人での活動を開始いたしました。

 現在は岐阜大学工学部で授業を持ち行いながら、まちづくりシンクタンクである名古屋都市センター特任アドバイザーとして活動しております。そこではシンクタンクで33年間勤めてきた自身の経験を活かし、名古屋市役所から派遣され出向してきた研究員職員に対して調査手段や研究テーマ設定、仮説の構築、調査研究手法の選定検証方法などについてアドバイスをしております。さらに、個人としてまちづくりをお手伝いするためには情報発信力が必要であると考え、「東海創生コラム」の執筆も2021年に開始いたしました。加えて東海地方を中心とした自治体からのご相談や講演のご依頼にも対応しております。

現役時代のパネルディスカッションで

Q3:大学で行っている教育活動について

岐阜大学工学部において「メンテナンスエキスパート養成講座」を担当しております。メンテナンスとは橋やトンネル、一般の道路といった社会資本が経年劣化してしまった際に修繕したり維持管理をしたりすることを指します。このような業務に携わる熟達な技術者を育てるための講座です。学生たちはコンクリートや鉄などハードなものに日々向き合いながら学びを深めております。ただ、私の専門は土木計画学であり、土木の分野では最もソフトな領域です。そのため、メンテナンスを行うことによって生まれる経済効果や、メンテナンスにおいて民間企業が力を発揮するにはどのような手段が適切であるかといった部分について理解を深めてもらうための講義を担当しております。

パネルディスカッションでは予定されない自由な討論が好き

Q4:地方創生やSDGsに取り組んでいる企業への応援メッセージ

地方ではの人口減少によって経済が小さくなってしまう危機に直面しています。同時にあるいは守りたい文化や伝統が若い担い手の不足により継承できなくなってしまう危機でもあります。この状況が放置されると地方自治ができない村まで出現してしまう。そのため、なんとか地方を盛り上げる必要があるという思いから地方創生という概念は生まれました。

 人口の増減は出生数から死亡数を引いた「自然増減」と、転入する人から転出する人を引いた「社会増減」の合計を足して算出されます。全国各地どこを見渡しても「自然減」であることは共通です。しかし、社会増減に関しては大都市がは「社会増」、地方都市では「社会減」の傾向があります。特に進学や就職をきっかけとした、地方から東京への若者の移住が目立ちます。

 私の研究では、現代の若者は就職活動において「経済処遇と社会貢献を両立しながら活躍できる場を求めている」学生が多いということが分かっています。高い給与水準や社会貢献への投資は経営に余裕があるからこそ実現するものであり、このような企業は東京に集中しているのが現状です。事業活動を通じて生み出した価値を示す数値である「付加価値額」が大きい企業の集積した都市に若者たちが引き寄せられていると統計からも検証できていますいうデータもあります。そのため、東京一極集中を是正し、地方創生を実現するためには地方都市が付加価値創出力のある企業を生むことや誘致することが必要です。まずはブロック単位や都道府県単位で中心となる都市が人口のダム機能を果たすという責任感を持って、率先して付加価値創出力を高める産業構造改革振興に取り組むことが求められます。

 地方創生やSDGsに取り組んでいる企業は社会貢献を志す若者たちの価値観を受け止め、活躍機会を提供してあげるような存在になってほしいと期待しております。企業の規模の大小は関係ありません。このようにして若者の人口流出を防ぐことが地方創生実現への糸口だと私は考えております。

仕事ではプレーンストーミングを重視する

Q5:Made In Localおよび地域を代表する企業100選への応援メッセージ

地域を代表する企業100選に選ばれる企業の皆様には、ぜひ経済処遇と社会貢献の両立を図りたいと考えている若者たちの受け皿となっていただきたいと思います。いかに自社企業での業務が社会貢献と繋がっているかについて若者が気づきを得られるような観点を大切に情報発信に努めていただきたく存じます。

 また、ウェルビーイングを実感した人生をなるべく長い間送るために健康寿命を伸ばすことが大切です。そこで地域の仲間と楽しみながらスポーツができる機会はすごく重要だと考えております。人々が楽しみながら健康を維持促進できる機会を地域でごとに充実させていただくためにも、健康経営に取り組むとともに、自治体や地域のスポーツチームにご尽力いただきたいと思います。

地域創生の未来に思いを馳せる…

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