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人と人との繋がりを生み出す
地域のコミュニティ作り
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地域のコミュニティ作り
Q1:地方創生やSDGsに関心を持ったきっかけ
2011年3月に東北地方を襲った東日本大震災が、現在ゼミを中心に私が行っている地域活性化にまつわる活動を始めたきっかけです。私の所属する千葉商科大学周辺地域には当時、地震の被害に遭われた多くの方が避難しており、社会福祉士の資格を持つ者だからこそできる支援はないかと考えるようになりました。そこで、大学周辺には親子連れの避難者が多かったことから、ママとこどもの交流の場として「ママカフェ」を大学キャンパス内に設置いたしました。慣れない地域で生活することへの不安を少しでもやわらげることが私たちにできることであると考え、学生が開発したオリジナルコーヒーを飲みながら親御さんには情報交換を行っていただき、その間お子さんは大学の広い敷地内でのびのびと遊んでいただける空間を生み出したのです。
このように私たちの活動は、はじめから地方創生・SDGsの訴求を念頭に行ってきたのではなく、これまでの活動の積み重ねを言い表した場合、結果的に地方創生が最も近しい言葉であったのだといえます。
【写真1】勅使河原 隆行 (千葉商科大学人間社会学部 教授)
Q2:過去と現在の研究内容について
元来私は社会的困難に直面した方々を福祉的な援助を通して支援する、福祉専門職(ソーシャルワーカー)の専門性に関する研究を進めておりました。近年では「Well-being (ウェルビーイング)」という言葉がよく用いられますが、人間にとって心と身体の両方が満たされている状態をつくりだすにはやはり、人と人との繋がりが必要不可欠な要素であるという考えに辿り着き、地域のコミュニティに観点を置いた現在の研究に至ります。
例えば、千葉県北東部に位置する山武(さんむ)市には福島県の原子力発電事故をきっかけに地元が帰還困難区域に指定され、肉牛と共に避難を余儀なくされた牧場経営者の方もいらっしゃいました。そこで、学生とともにソーセージなどの牛肉の加工品を製造し、地域で肉フェスを開催することで牧場経営者はもちろん結果的に地域全体を盛り上げることに成功いたしました。牧場経営者の方がお住まいだった地域は現在では、帰還困難区域から解除されていますが、今度は支援される側から支援する側として山武市に恩返しをしたいと言っていただき、こちらとしても非常に嬉しく思います。災害で避難された方が地域に根付き、やがて地域の仲間として共に地域を活性化していく。今後もこのような人と人との繋がりを大切に、大学での活動を通して地方創生に貢献していきたいと考えております。
【写真2】地域の方と交流をする学生たち (山武市の牧場にて)
Q3:ゼミで行っている教育活動や学生の活動内容
私のゼミは基本的に、教授から学生に対して一方通行で行なわれる座学ではなく、現地でのグループワークが中心です。地域の抱える課題をどのように解決していくかについて話し合ってもらい、当該地域の方と一緒になって活動し研究成果をあげる、いわゆるアクションリサーチ形式の授業であるといえます。授業時間外も対象の地域に向かい、フィールドワークを行なう学生も多いです。
ゼミにおける活動拠点となった山武市は九十九里浜に面し、山海の豊かな自然に恵まれた場所です。農業や林業が主な産業ですが、近年は過疎化などの問題によって活力は失われつつあり、地元の方々に行なったヒアリング調査では、若者を呼び込みたくても何が若者に興味を持ってもらえるのかが分からないことが課題でした。そこで、私のゼミでは山武市民と協力して、若者や観光客を呼び込むために様々な企画を発案しました。ここには地元産の海水ねぎを使用したねぎドレッシングやビールなどのユニークな商品を通じてネギについて知ってもらい、山武市にも興味を持ってもらえたらという意図が込められています。開発した商品は実際に道の駅などで販売し、発生した売り上げの全てを山武市に還元しておりました。さらに、山武市は成田空港から車で約30分の地域であり、飛行機の航路の真下に位置していることから海外から来た方にも飛行機の窓から山武市の景色を楽しんでいただくために「さんむ田んぼアートプロジェクト」という企画も実施いたしました。こうした活動の継続性が功を奏し、ゼミの学生は山武市市役所から「山武市応援学生隊」称号をいただきました。
このように、学生と地域の方が主体となって地域活性化に向けた取り組みを行なっていることが私のゼミの1番の特徴です。そして、最終的には学生の支援を通して地域全体が自立していけるようになることが私たちの目標です。
【写真3】千葉県誕生150周年記念で制作した田んぼアート
Q4:地方創生やSDGsに取り組んでいる企業への応援メッセージ
近年、地方創生・SDGsという言葉が幅広く使われるようになり、これまで以上に取り組まないと、と思い悩む企業様も多くいらっしゃるかと思われます。しかし、意識せずとも積み上げてきた活動のそれぞれが結果として地方創生やSDGsに繋がってくることもあるため、小さなことであってもコツコツ継続していくことが重要です。
大学生主体で行なわれる地方創生に向けた一連の取り組みのなかで、私が最も学生に伝えようと心がけていることが継続性と新規性、そしてその土地に元からある特徴に着目しつつ地域の人々の声に耳を傾け、何が課題なのか、それを解決するにはどんな方法があるかを見極めることです。地域おこしのイベントも、地元の団体主催であれば地域社会における人手不足の問題から後継に限界がありますが、大学生が主体となって開催すれば、若い人手を確保することが可能になります。学生もいずれは卒業し、ゼミのメンバーも代替わりしますが年を追うごとにイベントはブラッシュアップされており、地域の方にマンネリ化する余裕を与えない刺激的なものへと進化を遂げていますので、まずは続けることから始めていきましょう。
【写真4】山武市応援学生隊委嘱式の様子
Q5:Made In Localおよび地域を代表する企業100選への応援メッセージ
地方創生に向けた事業は、宣伝や収益に固執してむやみに結果を求めるのではなく、地域内でより多くの人々が一緒に関わって、息の長い形で続けていける仕組みを作っていくことが必要です。しかし、選出されている企業様は、既に独自の取り組みをされているかと思われます。そこで、今後は大学のみならず企業同士での連携が必要になってくると考えております。地域社会の抱える問題は、もはや国境を越えた世界中で解決すべき課題です。困っていることがあればご相談に乗りますし、大学生の若い力も付いています。今こそ、地域の企業で一丸となって日本の成功例をもっと世界に発信していきましょう。
【写真5】勅使河原ゼミナールの学生たち
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Made In Localは地方創生メディアの運営を通して地域の産業振興や地域間格差の是正に取り組んでおり、「産業と技術革新の基盤をつくろう」・「人や国の不平等をなくそう」・「住み続けられるまちづくりを」の3つのSDGsのターゲットの実現を目指しています。