企業のこれまでとこれから
御社の創業から現在に至るまでの歴史について、転換点となった出来事を含めて教えて下さい。
倉敷市では元々綿花と「い草(畳の原料)」が有名でした。そのため、倉敷市では「い草」を「ござ(草茎で作られた敷物)」へと加工する企業が数多く誕生しました。
弊社の前身は当時倉敷市に複数社あった「ござ」の糸を作る企業の一つです。当時の「ござ」は天然素材ゆえに品質や値段に差があり、色や製品の質にばらつきがありました。そこで、創業者は「プラスチックを使用した低価格で強度の高い糸ができたらおもしろい敷物ができるのではないか」と思い、プラスチック糸を作る会社として1962年「萩原工業」を創業しました。最初は普通のプラスチックの糸を製作していましたが、「おもしろいと思ったら、まずは皆でやってみよう」という企業スピリットのもと、「平たい糸があっても面白いのではないか」と平たい糸の製作に挑戦しました。これがのちに弊社の目玉商品となるフラットヤーンの開発に繋がります。
フラットヤーンとは特殊加工を施した化学繊維の平らな糸です。開発した当時の社会には、身の回りの様々な商品が自然由来のものから丈夫で軽い化学繊維の商品へと切り替わる動きがありました。弊社での事業と当時の社会のトレンドが上手くマッチしたことでフラットヤーン事業が軌道に乗り、事業展開が加速します。
次いで、フラットヤーンの耐久性を上げるために糸を織り、ラミネート加工を施したものを使って万能シートを開発しました。実は弊社は日本で初めてブルーシートを開発した会社です。同業他社よりも抜きんでて成長できたのは、フラットヤーンを含めた様々な製品を一貫生産できたからです。輸入したフラットヤーンの製造機械を見よう見まねで作っていくうちに自社で機械すらも作れるようになっていきました。こうして、スリッター(ロール加工機械)を主力に関連機械を生産・出荷していきます。当時の社長のポリシーと挑戦スピリットから海外販路開拓を進めていきグローバル展開していきました。
その後、弊社の後を継いだ前社長は「会社は萩原家のものではない」と上場を決意します。2000年の上場により会社がオープンになり、風通しの良い文化ができました。
今後はフラットヤーン事業をきわめてフラットヤーン技術を生かせる事業にどんどん挑戦していきたいです。
御社の現在の事業の強み・特徴やこれからの展望について教えて下さい。
弊社の強みは、人材を大切にする成長・挑戦・感謝に力を入れた社風だと思います。オフィスの社長室はガラス張りになっており、社員と社長との距離が近くオープンな雰囲気です。また、毎月パートも含めたすべての社員の意見を募集する「改善提案制度」を設け、若手に裁量権を持たせ、やりがいを持って働ける環境づくりをしています。2018年には「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」を受賞し、経営学会からも高く評価していただきました。
くわえて、社員の会社に対する貢献を労う制度もあります。例えば、5年に一度開かれる周年旅行では、10以上の様々なコースを整備し、日帰り温泉から欧州旅行まで様々なプランを若手社員が作成します。行きたいところを社員が自由に選択し、一部制限はありますが会社負担で行くことができます。旅行により、社内の横のつながりを強化する狙いがあります。
また、誕生日には社長直筆のメッセージ付きで「会社に年輪を刻んでほしい」という思いからバームクーヘンが自宅に送られてくる制度があります。このように、弊社では人材を大切にする様々な制度を整備しています。
企業から見た地域の魅力について
御社から見た岡山地域の魅力について教えて下さい。
倉敷市は様々な産業があり、災害が少なく、教育制度も充実した、人柄ののんびりした人の多い住みやすい地域です。なかでも魅力的なのは景観や美術です。倉敷市の美観地区には大原家が管理する「大原美術館」があります。弊社の社外取締役には大原美術館の理事長で、倉敷紡績創業家大原家第10代目当主の大原あかね氏が就任しています。弊社では美術鑑賞を大切にし、新入社員には必ず「大原美術館」を訪問する機会を与えるほどです。美術鑑賞には正解がありません。美術鑑賞によってそれぞれが様々な意見を持ち、意見交換する場を持つことができます。
そして、意見交換を通して互いの意見を尊重し、理解しあうことで、組織がまとまっていきます。弊社では美術品に対する人間への影響を検証するために大原美術館と岡山大学の三者で協働研究もしています。倉敷にいらした際には美しい街並みを実感すると同時に、ぜひ大原美術館にも訪れていただきたいです。
企業が求める人材像について
御社に応募していただきたい人材像について、具体的に教えて下さい。
学ぶ意欲があり、バイタリティが高い「ハングリー精神」を持つ人材を求めています。具体的に言うと、あいさつができ、大きな声で話せる人、マナーがあり、元気な人が良いと思います。学生時代に皆勤賞だった方も高く評価する対象です。学力や成績よりも人間としての土台がしっかりしている方も魅力的だと感じます。弊社では誰かに言われて学ぶのではなく、学ぶことの重要性に自分で気づき、自分から学んでいくことが重要だと認識しています。ゆえに、成長したい人のために留学制度や奨学制度を設けるなど、様々な研修制度を整備しています。今後も自己啓発や成長できる制度を増やしていく予定です。
ひとを知る
代表取締役社長
浅野和志
広島大学工学部卒業後、萩原工業に入社。製品開発部門を経験の後、総務・経理などの間接部門に携わり、取締役執行役員事業支援部門長・同常務執行役員合成樹脂事業管掌補佐を経て、2016年に代表取締役社長に就任。
SDGsへの取り組み
- 【9】【12】【13】【14】【15】使用済みのブルーシートを回収し、新たなブルーシートを製造する水平リサイクルシステム「Re VALUE+」を強化し、再生ブルーシートのリサイクル率の向上に取り組んでいます。
- 【9】【12】【13】【14】【15】環境負荷が少ないと認められた製品の目印となるエコマークの認定商品の増加に取り組んでいます。(使用済みブルーシートから作られた再生原料を 25%以 上配合した【ターピー Re VALUE+シート】や、再生原料を 60%以上使用しポリエチレン単一素材でリサイクルが容易な【ターピー エコフレンドシート】等)
- 【9】【12】【13】【14】【15】使用済みのプラスチックを再資源化する高品位樹脂再生プロセス「GXライン」は、プラスチック製品の工場から排出される「成形ロス品」による廃プラスチック問題を解決し、循環型社会の実現に貢献します。
- 【9】【11】【12】【17】 災害時に必要な物資の供給を迅速かつ丁寧に行えるよう、 23の自治体等 と災害時におけるブルーシート・土のう袋等の供給に関する協定を締結しています(2024年8月現在)。
企業プロフィール
企業名 | 萩原工業株式会社 |
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所在地 | 〒712-8502 岡山県倉敷市水島中通一丁目4番地 |
創業年 | 1962年創業 |
代表者 | 代表取締役社長 浅野和志 |
事業内容 |
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