みーな
◯重文民家・高林家での体験イベント
皆さんこんにちは🌟
ライターのみーなです。
2022年12月4日(日)、大阪・堺市にある高林家住宅で、文化財見学と年中行事の食事を体験できるイベントに参加してきました!
高林家は武家の出身であり、江戸時代に村を取り仕切る大庄屋を務めていました。
現存している住宅は江戸時代初期に建てられた民家であり、文化的・歴史的価値があるとされる「国指定重要文化財」(略して「重文民家」)に指定されています。
26代目当主の高林永統(たかばやしながつね)さん一家によって、今も当時からの建物と住文化が守り続けられているのです。
今回は、イベントの体験レポートと、そこで見た文化財の現状をお届けします!
◯江戸時代から残る建物を見学
土間の天井には、大きな丸太が。
当主の高林さんのお話をお聴きした後、米蔵、不動堂、稲荷社を案内していただきました。
不動堂。
4年前に高林さん個人の費用と国や堺市からの補助を得て解体修理され、美しい状態に復元。
不動堂の表札裏にある「文化14年」(およそ200年前)という年号と、高林家に伝わる史実から、流行病で亡くなった子供7人の供養のために不動堂が建てられたのではないかと推測されています。
続いて、主屋の奥座敷を訪れました。茶室が奥に見えて、趣のある雰囲気ですね。
奥座敷には、狩野派の画人・須賀蘭林斎(すがらんりんさい)が描いたとされる襖絵が。
建物の端に目をやると、年中行事で献上する干し柿が吊るされていました。
伝統と共に生きる生活が感じられますね。
◯おせち料理とお雑煮を実食
文化財を見学後は、行事料理の実食です。
年に26〜27種の伝統行事を執り行うという高林家。今回は、お正月料理の「百舌鳥精進」(もずしょうじん)をいただきました。
百舌鳥の地域では、大晦日〜小正月の間は精進料理を食べる慣習が伝わっています。
高林家では、肉・魚などを用いず、野菜や豆腐を使った精進料理を、大晦日夕方〜1月3日夕方まで食べる伝統行事を守っています。
こちらが、おせち料理5種です。
醤油の程よい甘みと食材が持つ旨味が感じられました。
(上から反時計回りに)たたきごぼう・焼き豆腐・にんじん・椎茸・黒豆。
続いてお雑煮。いつもは竈さん(へっついさん)で小さい竈2つと大きい竈1つを使い、雑煮を3日分一気に作り上げるそうです。
敷地内の落葉や落枝を使って火おこしされていました。
具材は、豆腐・五角形に切られた大根・小芋。赤味噌と白味噌の混合味噌。
高林さんが目の前で作ってくださったお雑煮はとても美味しく、おかわりを求める方々もちらほら。
◯保護の中で課題も
文化財が色褪せず保護されているように見えますが、実はそうではありません。
最初に訪れた米蔵の裏側を見てみると、壁が剥がれている部分が・・・。
老朽化が進み、現在は立ち入り不可となっています。
修繕するにはおよそ4億5千万円もの費用がかかるとのこと。
現在は大阪府からの補助制度が廃止されてしまっているため、修繕するとなれば高林さんの財源から修繕費の15%を捻出しなくてはいけません。
文化財を保護してくださる当主への負担が大きく、修繕の費用が文化財保護の大きな課題となっています。
また、財源の問題だけではありません。
高林家の年中行事は継承されていますが、他の重文民家の中には継承する人々が不足し、住文化の保護も課題となっている民家があるそうです。
◯「住文化を守るために、その文化が紡がれてきた場所に住み続ける」
課題を抱える一方、「自身のお子様がお正月の期間中、家での慣習に倣い学校の給食で肉を残した」というエピソードを「嬉しいことです。」と話していた高林さん。
「家の歴史ばかり目についてしまうが、家の中で代々伝わる行事こそ大切なんです。そして行事を守るために、家がある。家があるから、その行事がある。どちらも欠けてはいけないものです。」と話してくださいました。
主屋・外観。
「文化財」とは建物や美術作品など、「目に見えるもの」だと思いがちです。
ですが今回のイベントを通して、その家で継承されてきた文化や伝統など「目に見えないもの」も貴重な文化財だと気付かされました。
希少な建物文化、受け継がれてきた文化、そこで生きてきた人々の歴史とこれからを守るために、私たちができることはあるはずです。
皆さんも、まずは身の回りの隠れた文化財を探し、知ることから始めてみてはいかがでしょうか。
みーなでした☂️
(⚠️「高林家」の「高」は、正式名では旧漢字を使用しています。)
(参考資料:特定非営利活動法人全国重文民家の集い・ホームページ、イベント提供資料より)
日時 | 令和4年12月4日(日) 11:30〜14:00 (11:00開場) |
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開催地 | 重要文化財 高林家住宅(堺市北区百舌鳥赤畑町5丁647) |
アクセス | JR阪和線「百舌鳥駅」下車 徒歩10分 |
駐車場 | 無し(公共交通機関を利用) |
参加費 | 3,000円(当日会場で支払い) |
申し込み | 必須(令和4年11月14日14時〜令和4年11月22日まで) |
定員 | 30名 |
主催 | 大阪府教育庁文化財保護課、重要文化財 高林家住宅 |
協力 | 大阪教育大学 教養学科 碓田研究室、堺市文化財課 |
後援 | 特定非営利活動法人 全国重文民家の集い |
協賛 | 株式会社アキボウ、株式会社IOBI、株式会社140B |
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