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一粒の真珠を手に取ったとき、その美しい輝きの裏側にある物語を考えたことはありますか。
ネックレスや指輪など、特別な日の装飾品として親しまれてきた真珠。しかし、その一粒が生まれるまでには、貝の成長を見守る時間・養殖業者の細やかな技術・自然と向き合う努力が詰まっています。
実は、日本を代表する真珠の歴史は三重県から始まりました。世界で初めて養殖真珠の生産に成功した三重県では、100年以上にわたり受け継がれてきた技術と文化が、現在も大切に守られています。
今回は、真珠がどのように生まれるのか・世界初の養殖真珠が誕生した背景・そして実際に真珠の魅力を体験できる場所までご紹介します。
一粒の輝きがどう生まれる?真珠とは?
真珠は、貝の体の中でつくられる宝石です。ダイヤモンドやルビーのように地中から採れる鉱物とは異なり、生き物が長い時間をかけて育てる、世界でも珍しい宝石です。
真珠は、貝の中に砂などの異物が入り込むと、自らの体を守るために貝殻の成分を分泌し、その異物を少しずつ包み込みます。この層が何層にも重なることで、独特の光の反射を生み出す真珠へと育っていくのです。
自然の中で偶然できたものを “天然真珠” といい、人の手で核と外套膜(がいとうまく)の一部を貝に入れ、自然と同じ仕組みで育てたものを “養殖真珠” といいます。日本で養殖される真珠の多くは、アコヤガイという二枚貝からつくられる “アコヤ真珠” です。直径6〜8mmほどの上品な大きさと、美しい輝きが特徴で、日本を代表する真珠として世界中で評価されています。
アクセサリーとして身につける真珠も、もとは一つの貝の中で時間をかけて育った命の一部だと知ると、真珠は、自然と人の技術が生み出した文化だと思えるのではないでしょうか。
では、世界初の養殖真珠はどのように誕生したのでしょうか。養殖の舞台となったのが三重県です。
世界初の養殖真珠が三重県で生まれた理由
明治時代まで、真珠は海で偶然採れる天然真珠しかなく、ごく限られた人しか手にできない貴重な宝石でした。そんな中、「世界中の女性を真珠で飾りたい」という夢を抱いた三重県鳥羽市出身の実業家・御木本幸吉は、1888(明治21)年に養殖真珠の研究を始めます。
養殖の舞台となったのは、三重県南東部の志摩地域にある英虞湾(あごわん)です。リアス海岸特有の入り組んだ地形によって波が穏やかで、水温や塩分が安定し、プランクトンが豊富なことから、アコヤガイの生育に適した環境が整っていました。
御木本は「海底に沈めた縄に稚貝を付着させて育てる」という方法を考案し、養殖の土台を築きます。しかし、研究は順調には進みませんでした。1892(明治25)年には赤潮の影響で、英虞湾の実験中の真珠貝がほぼ全滅する被害を受けます。それでも研究を続けた結果、翌1893(明治26)年、相島(現在のミキモト真珠島)で育てていたアコヤガイから5個の半円真珠が見つかり、世界初の養殖真珠の生産に成功しました。
1905(明治38)年には丸い養殖真珠の生産にも成功し、養殖技術は日本各地から世界へと広がっていきます。希少だった真珠は、多くの人が楽しめる宝石へと変わっていきました。
現在も三重県には約250の真珠養殖業者があり、品質評価会を定期的に開催しながら、高い技術と伝統を受け継いでいます。世界初の養殖真珠が生まれた地として、三重県は今も真珠文化を支え続けているのです。
約3〜4年かけて育つ!真珠ができるまで
養殖真珠は、アコヤガイの育成から収穫まで約3〜4年という長い時間をかけて育まれる宝石です。まず、成長過程の幼い貝である稚貝を約2年間育てた後、貝殻を丸く削った核と、別のアコヤガイから採取した外套膜(がいとうまく)の一部を貝の中へ入れる “核入れ” を行います。
核入れを終えたアコヤガイは、傷を癒やすために波の穏やかな漁場で約1週間休ませた後、海上に設置された養殖用のいかだへ移され、本格的な真珠づくりが始まります。
真珠を約7か月〜1年6か月かけて育てる間、養殖業者は水温・酸素量・プランクトンの量など海の環境を細かく確認し、赤潮や台風などの自然災害にも備えなければなりません。また、アコヤガイにはさまざまな生物が付着するため、定期的に掃除を行う必要があります。
十分に成長した真珠は、12月から2月にかけて行われる “浜揚げ” でアコヤガイから取り出されます。この時期は水温が低く、真珠の層がゆっくりと形成されるため、奥行きのある光を放つ真珠に仕上がるのです。
一粒の真珠が生まれるまでには、豊かな三重県の海だけでなく、養殖業者による長年の経験と細やかな管理が必要です。多くの時間と手間をかけて育てられるからこそ、真珠は「海の宝石」と呼ばれるにふさわしい価値を持っています。
見て・触れて・体験する!三重県で真珠を学べるスポット3選
真珠が完成するまでには、長い年月と養殖業者のたゆまぬ努力が欠かせません。真珠の歴史や技術を実際に見て、体験しながら学べる施設が三重県内には数多くあります。
今回は、その中でも真珠の魅力をより深く知ることができる3つのスポットをご紹介します。
①養殖真珠誕生の舞台へ!歴史を学ぶ「ミキモト真珠島」
三重県東部の鳥羽市にある「ミキモト真珠島」は、御木本幸吉が世界で初めて養殖真珠を成功させた場所として知られています。
島内には、真珠ができる仕組みや養殖の歴史を学べる “真珠博物館” や、御木本幸吉の生涯や挑戦を紹介する “御木本幸吉記念館” があります。また、海女による潜水実演も毎日行われており、伊勢志摩の海と真珠文化を体感できる人気スポットです。
📌ミキモト真珠島
・📍住所:〒517-8511 三重県鳥羽市鳥羽1-7-1
・🔗公式HP:ミキモト真珠島
・🚶アクセス:JR鳥羽駅より徒歩5分
・⌚営業時間:季節によって変更するため公式HPを要確認
・📅毎年12月第2火曜日から3日間休業
・📞お問い合わせ(電話):0599-25-2028
・🎫入場料金:大人1,650円、小中学生820円、※2026年7月時点
②養殖の魅力を体験!「真珠工房 真珠の里」
三重県南東部の志摩市、英虞湾のほとりにある「真珠工房 真珠の里」は、真珠養殖業者が運営する体験型施設です。
生きたアコヤガイから自分の手で真珠を取り出し、世界に一つだけのアクセサリーを作ることができます。また、真珠の元となる核を貝に入れる体験に加え、魚釣りや海上バーベキューなど、英虞湾の自然を満喫できるアクティビティも充実しています。真珠について学びながら、伊勢志摩ならではの魅力も楽しめる施設です。
📌真珠工房 真珠の里
・📍住所:〒517-0704 三重県志摩市志摩町越賀1125-88
・🔗公式HP:真珠工房 真珠の里
・🚙アクセス:近鉄「鵜方駅」より車で約20分
・⌚営業時間:9:30~17:00 (最終受付 夏季16:00/冬季15:30)
・📅定休日:火曜日(繁忙期・祝日は営業の場合あり)
・📞お問い合わせ(電話):0599-85-0515
・🎫体験料金:真珠取り出し体験 1,650円~(アクセサリー加工代別・2026年7月時点)
③自分だけの真珠アクセサリーを作る!「有限会社 菊池パール」
三重県中東部の伊勢市にある「有限会社 菊池パール」では、生きたアコヤガイから真珠を取り出す「Myパール珠出し体験」が人気です。
職人のサポートを受けながら真珠を取り出し、その場でペンダントやブローチなど自分だけのアクセサリーへ加工してもらえます。希望すれば、真珠ができる仕組みや養殖の歴史についても知ることができるため、楽しみながら真珠への理解を深められる施設です。
📌有限会社 菊池パール
・📍住所:〒516-0012 三重県伊勢市通町112-4
・🔗公式HP:有限会社 菊池パール
・🚶アクセス:JR五十鈴が丘駅から徒歩5分
・⌚営業時間:9:00~17:00(体験受付16:00まで)
・📅不定休
・📞お問い合わせ(電話):0596-23-2230 、ご来店の際はご予約をお勧め
・🎫入場料金:真珠取り出し体験 1,100円~(アクセサリー加工代別・2026年7月時点)
おわりに
普段何気なく目にしている真珠は、自然の力だけでなく、多くの人の手によって育てられた特別な宝石です。
世界初の養殖真珠を生み出した御木本幸吉の挑戦、豊かな海を守りながら真珠を育て続ける養殖業者の努力。その積み重ねがあったからこそ、真珠は現在、世界中で愛される存在となりました。
今回調べる中で、真珠は単なる高価なアクセサリーではなく、海の環境と向き合いながら、人の手で未来へつないできた文化なのだと感じました。
三重県を訪れた際には、ぜひ真珠そのものだけでなく、その背景にある歴史や人々の努力にも目を向けてみてください。きっと、目の前の一粒がこれまでとは違った存在に見えてくるはずです。
参考
・MIKIMOTO|ミキモトパール
・三重県おさかな図鑑|真珠貝(アコヤガイ)の貝柱
・三重の文化|巡ろう!三重の文化観光:大阪・関西万博(真珠)
・志摩市HP|真珠発祥の地
・ふるさとチョイス|三重県志摩市は真珠養殖発祥の地です!
・兵九郎粕漬け|伊勢志摩から始まった真珠養殖の歴史
・MIKIMOTO|ブランドストーリー
・日本真珠振興会|真珠指針2025
・三重ブランド|真珠
・三重県真珠養殖漁業協同組合|真珠ができるまで
・VISON|三重県名産!「海の宝石」真珠を旅の思い出に 真珠販売&体験スポット6選
・伊勢志摩観光ナビ|有限会社 菊池パール
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